Novel〜孕〜 7 ★ それからしばらくして、ウナとヤヒトは王子を助けた礼にと王から直々に剣をもらった。玉座の横で嬉しそうにこちらを見ているタクルを前に再び倒れそうになったのは秘密である。 他にも城の警備隊へ入らないかと誘われたり、食事に誘われたりとしたが、剣だけでも十分すぎる褒美だと二人は丁寧に断った。 そうして日が経ち、年が明けてすぐにあった競技会から慌ただしく日数が過ぎて、アニョ国との国境の警備の任務が終ったウナたちは城下へ戻ってきていた。 「雨季だなぁ。ウナ、大丈夫か?」 「ん?」 明日は、城へ行って報告をする。そしてしばらくの休暇が与えられて、何週間後かに再びどこかの国境付近へ行くことになるだろう。 その休暇が雨季でよかったとヤヒトは隣を歩くウナを見る。 彼は雨が降るととにかく調子が悪いのだ。イライラするのは当たり前。原因不明の頭痛や腹痛、たまには歯も痛くなるときがある。 しかし今年はどういうわけか、ウナにそのような変化が見られなかった。 「そういえば、ここのところ調子いいかも。この1年で身長が伸びたからかな」 伸びたとしても、もともと小さいウナなのでヤヒトや仲間たちに追い付くことはなかったが。 とにかく健康なのはいいことだとヤヒトは明日に備えてウナも住んでいる兵士の宿舎に入った。 翌日、昨日の会話をあざ笑うかのように、朝からウナの体調は最悪だった。 「なぁ、今日はただの報告だから無理するなって」 ヤヒトの言葉に仲間たちも頷く。それでもただの腹痛だからと言い、数少ないタクルに会えるかもしれない機会なのでウナは真っ蒼な顔で城に来ていた。 そして報告が済み、帰ろうとした直後、城の廊下でウナは倒れてしまったのだ。 ★ [*前へ][次へ#] [戻る] |