Novel〜孕〜
13
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誰もいなくなった地下の檻で、しばらく冴は大声で叫んでみたり、石の柱を揺さぶったりとしてみた。
しかし、城の底のような場所には、誰も来ない。また、腕を目一杯伸ばしても抱きかかえることのできないくらい太い石の柱は、案の定ビクともしなかった。
とうとう冴は疲れてへたりこんでしまう。
小さくため息をついて、少し落ち着こうと改めて周りを見回してみた。
檻は全てをぐるりと囲んでおり、中には一応トイレらしいものがある。広さは5メートル四方と言ったところだろうか。
そしてこの部屋自体は、檻から10メートルは離れたところに岩の壁があり、外の接点は唯一階段だけであった。
床は何の素材なのかわからないが、とにかく固い。
しん、と静まり返った檻で、膝を抱えて小さくなる。
「メノウ…」
自分の膝がぼやけてきたが、冴は目を拭う気も起きなかった。
彼を、メノウを傷つけてしまった。
冴とて、知らなかったこととは言え、花嫁だと思っていた人物が入れ替わっていたのだ。
幸せそうな彼の頬笑みを思い出す。
もう二度と見られないのだろう。
また、その頬笑みですら、本当の花嫁に向けられたものであって、冴に向けられた笑みではないはずだ。
体が千々に裂けてしまいそうなほど苦しい。
眼差しも、言葉も、熱も、すべて冴が受け取ってはいけなかったもの。
そして、メノウが呟いた竜核。
結局誰も教えてくれず、わからないままだが、きっと彼らにとって大事なのだと想像できた。もしそれを与えられていなかったら、冴は今頃殺されていたかもしれないほどの何かなのだろう。
「核」というくらいだ。命に関わるようなものなのかもしれない。
「メノウ、…僕は、どうしたら…」
両手で顔を覆い、冴は項垂れた。
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