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Novel〜孕〜
潜入






ムラサとヒチは、予定よりも早く赤国に紛れ込んでいた。
兵舎に侵入し、ハルを探したが、なかなか見つからない。

「まさか、戦死したということはないよな…?」

その可能性もある。しかしスパイまでこなす相手だ。生きているほうに賭けたかった。

「もしかしたら、ここではないかもしれない」

赤国兵にうまく化けた彼らは、兵舎をあとにし、ムラサの案内である建物の前で身を隠す。
ムラサはここが、赤国の本拠地だと言った。いわば、青国でいう城、ゼンのようなものだ。


「ここにいるのか?」

「わからない。だがもし、ハルが役職についていればここにいる可能性は高い」

「調べる価値はあるな!」

「問題はどう潜り込むか、だが…」

ゼン同様に、城の警備は万全のようだ。そう簡単には侵入できないだろう。
そのとき、城の入り口が騒がしくなり、少人数の一行がやってきた。

おそらく各地の情勢を調べている者だろう。城の門が開き、数人が出てきて話をしている。
すると遅れて一人が城からやってきた。

彼らの中では一番位が上なのだろう。全員がその男に向かって敬礼している。


「!!」

ヒチは息を飲んだ。
その敬礼を受けている者こそが、かつて青国にスパイとして侵入し、ドラムと名乗っていた男だったのだ。

「いた…!あの人だ」

「なるほど、やはりいたか」

報告が終わったのだろう、解散する。ハルは青国にいたころより精悍さが増し、男らしくなっていた。

「ただの人物ってわけじゃなさそうだな…」

ムラサが苦そうな声を出す。連れ帰るのは時間がかかりそうだと予感した。







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あきゅろす。
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