Novel〜孕〜 俺のかあちゃん 6 ★ そして耐えきれなくなった空から、雨がポツポツと降り始める。 「ね?もう帰ろう?デクが心配するよ」 そう言われて、仕方がないからまた無視をしながら帰ろうと人間の方を向いた、はずだった。 「ナッツ!!」 ちらっと人間の驚いた顔が見えたと思ったら、世界がぐるんぐるんと回って、ドサッと尻もちをついた。 びっくりして、あたりを見回すと、そこには人間はいなくて、かわりに川が流れていた。 「大丈夫?!返事して!ナッツ!!」 上から、人間が叫んでいるのが聞こえる。どうしようと思ったけど、あまりに必死に、泣きそうな声で人間が呼ぶから、「だいじょおぶ!」と返事をしてしまった。 どうやら、俺は谷みたいになっているところに落ちたらしい。とおちゃんの言うとおり、ここは俺一人じゃ登れない。 返事を聞いた人間は、「ちょっと待ってて!」というとガサガサとどこかへ行ってしまった。 することがないので、膝を抱えて川を見る。 いつも上からのぞく川は、透明できれいなのに、今日は茶色く濁ってて、量も多い気がした。 ちょっと、怖くなる。 もしかして…、 このまま、誰も助けにこないんじゃ? あの人間はとおちゃんが大好きだ。見ててわかる。もしかして、俺は邪魔だから、このまま放っておかれて死んじゃうの? 怖い…。そんなのいやだ!! ★ [*前へ][次へ#] [戻る] |