Novel〜孕〜 8 ★ 「何のようじゃ」 少し低めの声で、魔術師が答えると、オカシラはニィと笑います。 そして言いました。 「デクを連れて来い」 「はぁ?」 魔術師がわけがわからないという顔をすると、オカシラは「いいから」と先ほどの不機嫌振りが嘘のようにそういいます。 その何か企んでいる顔を見ているうちに、魔術師はその何かを悟ったらしく、やれやれと呟きながら、またもふぃっと姿を消したのでした。 魔術師がいなくなって、オカシラはワサビに説明をし始めました。 「今から1匹の魔物をここへ連れてくる そいつは発情期になると理性がなくなるんで、普段はあの魔術師が大人しくさせているんだが、実際は一度も繁殖行為をしたことがない お前にはその相手をしてもらう」 「は、はんしょ、く…?」 考えた想像がそのとおりでないことを必死に祈りながら、ワサビが繰り返すと、オカシラはますます笑顔でいいます。 「デクは馬鹿だが、魔物の中では、強くてしかも稀少種だ アイツの脱童貞を手伝ってくれや」 カカカ、と笑うオカシラを見上げながら、想像通りの最悪の展開に、ずりずりとワサビは後ずさりをしました。 またふぃっと音がして、そちらを見たワサビが「ひぃ」と掠れた悲鳴を上げました。 魔術師の隣に立っていた魔物は、 それは大きく、それは醜い魔物だったのです。 ★ [*前へ][次へ#] [戻る] |