Novel〜孕〜
10万記念 2☆
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「月がきれいだな…」
仰向けのまま、運ばれていたユキが呟く。
そういえば初めて、このスライムに好き勝手されたときもこんな月だった。
あの時は、幻想的過ぎて怖かった月。
しかし今は優しく自分たちを見守ってくれている気がする。
そうしてぼんやりとしていたユキは、周りの景色に気付いて上体だけスライムから起こした。
いつも泉の浅いところで体を洗ってくれるので、今夜もそうだろうと思っていたが、見渡してみるとかなり陸からは離れたところにきている。
もしかしたらここは泉のまんなか付近なのかもしれない。
そう考えたユキは、自分を乗せて半分は水に浸かっているスライムに話しかけた。
「まさか…ここで生めって?
開放的すぎやしないか?」
くすくすと笑って大きな体を撫でると、ぶるりとスライムが震え、ユキの足や背を撫でた。
気遣うようなその触れ方に、ふわふわと心が温かくなる。
「別に嫌だってわけじゃねぇよ
心配するな」
そういって自ら協力するように体から力を抜くと、スライムはいそいそとユキの体勢を変え始めた。
大きく、Mの字になるように足を開かされ、ほんの少し羞恥が顔を出したが、思い切って深呼吸をし、背中をスライムに預ける。
「んっ冷て…」
すすすと下に体が下がったかと思ったら、尻に水の冷たさを感じて思わず身震いした。
このまま全身浸からせるのだろうか、と思ったが、ほんの数センチだけ水に触れさせた後は沈まなかった。
もぞもぞと背中に感じていた動きが、落ち着く。つまりこの体勢で生めということだろう。
「なぁ、息んだりしたほうがいいのか?」
浅知恵だが、人間の出産のときは短く息を吐くのがいいと聞いている。息みっぱなしもあまりよくないらしい。
どうしたらいいのかわからないユキが首だけ背中を預けているスライムに向けると、下肢がふるり、と意図せず震えた。
「あ、え、
・・・何?」
慌てて前の、自分の股間を見下ろそうとして、またふるっと腰が揺れる。
そして今度はその理由がわかった。
今ので2匹、スライムの子供が泉の中に産み落とされていたのだ。
あまりにもすんなりと、なんの痛みもなく出てくるものだから、ユキはぽかんと口を開けてその様子を見つめる。
そうこうしているうちに3匹目、4匹目と次々にユキのそこから拳ほどのスライムが誕生し、いつしかユキの腹はぺたんこになっていた。
「ん…っは、
お、終わった、?」
開ききった後孔から水が入ってくるような感じがして、無意識にずり上がりながらユキが尋ねる。
特に体を動かしたわけでもなかったのに、息が上がっていた。
はふはふと胸を喘がせるユキの背をスライムが撫でる。長い間、体の中にあったものがあっという間に出て行ってしまって、ユキの体が追いつけないらしかった。
生まれたての子スライムたちも、ぴょこぴょこと水面から体を出して心配そうに両親を見ている。
「こ、…ど」
その視線に引き寄せられるように、ユキが重い体をうつ伏せにして、手が下に伸ばし、水中を探るようにパシャと水を跳ねさせた。
すると泳ぐのも初めてだと思えないほど、すいすいと小さなそれらはユキの手に寄っていき、我先にとユキの手に懐く。
「あ、…」
それを感じたのだろう。ユキは安心したように笑って、眠りに落ちた。
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