シンフォニア小説
二人旅
【ゼロロイ】
「は〜や〜く〜来ないかな〜♪」
今、俺さまゼロス・ワイルダーはとってもご機嫌。
なんでかって?んなもん決まってんじゃん。
「お〜い、ゼロス〜」
我が愛しのハニーと二人っきりで旅ができるんだからな〜。
これを喜ばずして何を喜べっていうのよ。
「ごめん。待ったか?」
「いんやぜ〜んぜん。俺さま今来たばっかよ〜」
早くロイドくんと旅したい気持ちを抑えきれなくて1時間前から待ってたなんて言えるはずもない。
「俺さまだっせえ・・・」
「何がだ?」
「べっつに〜」
はぁ、片想いってつらいねぇ。
この旅に誘ってくれた時は、もしかして脈アリ?とか思ったけど、ぜーんぜん進展ねえしなぁ。まあそりゃ、告ってないわけだし、あたりまえっていえばあたりまえなんだけどねぇ。
あん時告っちまえばよかったなぁ。いや、告ろうとはした。しましたが!何であそこで邪魔が入るかねぇ。
マジありえねえっての。
「なぁ、エクスフィア回収の旅、ゼロスも来ないか?」
正直、耳を疑った。
まさか裏切り者の自分にそんな誘いがくるなんて。
「は?へ?コレットちゃんは?」
「なんでコレットが出てくるんだよ」
「いやだって、ロイドくんはコレットちゃんのことが・・・」
好き、というたった二文字が出てこなかった。
認めてしまうと、すべてが崩れてしまうような気がして。
「?変なやつだなー」
いつもなら軽口をたたいてヘラヘラ笑う場面だが、今はそんな余裕なんてない。
「俺で・・・いいのか・・・?」
言ってすぐ後悔した。
ここで拒否されたら、俺は・・・。
「当たり前だろ。ゼロスがいいんだよ」
こともなげに言う彼の笑顔は、とてもまぶしかった。
ああ、だから好きになったんだな。と今更ながらに思う。
「俺はゼロスと旅がしたい・・・いやか?」
「・・・俺さまがハニーの頼みを断るわけねーだろ〜」
やっといつもの余裕が戻ってきた。
「ホントか?よかったぁ」
ああ、今なら言える気がする。
ロイドに、好きだって。
「ロイド・・・俺は、お前が・・・」
ガチャリ。
「なんだ、ロイドとゼロスか」
「ジーニアス。悪い、起こしちまったか?」
「ううん。そんなことないよ。それよりロイド、早く寝たほうがいいんじゃない?明日一番頑張らなきゃいけないのはロイドなんだからね」
「わかってるよ。もう少ししたら寝るから。じゃ、おやすみ」
「おやすみ、ロイド」
あ、ついでにゼロスも。と言って彼は部屋へと戻っていった。
「で、なんだったけ?」
「あんのクソガキ・・・」
せっかくのいい雰囲気が台無しだ。
「へ?」
「なんでもねーよ。んじゃ、俺さまも寝るとしますかね〜」
「ああ。おやすみ、ゼロス」
おやすみ。と言おうと思ったけど、このまま終わるのも納得いかなくて。
不意打ちで頬に触れるだけのキスをしてやった。
「!?」
「おやすみ、ハニ〜♪」
邪魔されたんだ。これぐらい、いいよな?
あの時のハニーはかわいかったな〜。
顔を耳まで真っ赤にして、口をパクパクさせて。ハニーってば最っ高!
それにしてもガキンチョ・・・。
いくらなんでもあのタイミングはないでしょーよ。
空気の読めない男はモテないんだぜ〜。
「ゼロス?どうしたんだ、急にぼーっとして・・・」
目の前には心配そうなハニーの顔。
「いや〜、思い出に浸ってたっていうかなんていうか・・・」
「?まあいいや。それよりさ、早く出発しようぜ!出発!」
今度は今までに見たこともないくらいうれしそうなハニーの顔。
「なによロイドくん。やけにうれしそうじゃねーの」
「これからゼロスと二人で旅するんだ。うれしくないわけないだろ」
うっわ〜、俺様多分顔真っ赤だわ。
その笑顔でそのセリフは反則でしょ〜。
こっちも素直にならないとねぇ。
時間はたっぷりあるんだ。覚悟しろよ、ロイドくん。
〜あとがき〜
シンフォニア小説第一弾!どーでしょうか?
クラトスと一騎打ち前夜です。会話は都合のいいように変えさせていただきました。
ホントはもっと甘めに仕上がる予定だったんですが、いつの間にかほっぺにちゅーだけで終わってしまいました。
なにか感想があったらどんどん送ってください。待ってます!
言葉にしないと伝わらない。そう思っていた――――
[次へ]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!