[携帯モード] [URL送信]
5話
プルルルル、プルルルル
「戸部さん、、、もう、、飲めない、、です、、、」
プルルルル、プルルルル
「あ!やば!!遅刻する!、、」
浩介は飛び起きた。スーツに着替えて、、
浩介はあることに気づいた。これは浩介の携帯のアラームじゃない。部屋共通の固定電話の音だ。浩介は部屋の固定の時計を見た。午前二時半。こんな時間に電話?固定電話は電話してきた相手は表示されない。未だに鳴り続ける。俺はとりあえず受話器を取った。
「もしも、、、」
「浩介!!」
俺は鼓膜が破けそうになる感覚を覚えた。いきなり耳に飛び込んできたのはとても切羽詰った声だった。
「浩介!今すぐそこから逃げろ!!」
浩介はハッとした。切羽詰ってるが、この声は、、。
「戸部さん!!??」
「聞こえなかったのかよ浩介!そこ、、」
「戸部さん!何があったんですか!!」
「あの扉のむこうに・・・こ・・・」
いきなり電波ジャックされたように戸部の声が聞き取りづらくなった。
「は?なんていってるんですか?戸部さん!!」
「この・・・・・で・・・・・・」
「聞こえないですって!」
「こ・・・す・・・・お・・・ま・・・おれ・・・」
プツ
電話は切れた。
「戸部さん!」
浩介は受話器を置いた。体が自然と震える。
(戸部さんはあの扉の向こうに行ったに違いない。あの扉の先でなにが・・・。とにかく)
浩介は立ち上がり心に決めた。
(とにかく、今は戸部さんが言ったように、ここを出ることを考えないと)
あの戸部があそこまで切羽詰った声で俺に何か言ってきたことはない。戸部は確かに浩介を巻き込むことが多いが、あの声は真実を伝えているような気がする。
まずはバックを、、、
外でカチャカチャと金属がぶつかり合う音がした。そしてカチャリ。鍵が解け、ドアが内側に開く。ドアのところには和田が立っていた。左手には大きなワッカについたたくさんのマスターキーを持っている。その後ろにはガードマンらしき屈強な男が二人立っていた。まるで、悪人を連行するときのようだ。
「鈴木浩介、こい」
その声はいつもと変わらなかったが、浩介の体にさらなる震えが走る。足から力が抜けてペタンと座り込んだ。17階のここから逃げる方法はドアから逃げるしかない。そのドアを封じられた今、浩介になすすべはなかった。
浩介は半ば意識が無い状態で和田に連れられて行った。戸部が共にいるとき、浩介にいいことが起こったことなど、ほとんどなかった。


[*前へ][次へ#]
[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!