ある雨の日の日記Side.C

 今日は俺もザックスもセフィロスさんも休日だったけど、生憎の大雨だったので一日中セフィロスさんの部屋で過ごした。
 セフィロスさんの部屋は特別で、ソルジャー用兵舎の最上階全部なんだけど、はっきり言って凄い。俺の部屋がある一般兵舎なんかとは全然違ってネズミもゴキブリも勿論居ないし、寧ろ週に一度はプロが全室掃除に来るもんだからいつ来ても綺麗だ。
 そんなセフィロスさんの部屋でも、今日ばかりは違った。

「おいクラウド〜。お酌してくれよ〜、おしゃ〜く」

 そんな事を言いながら俺の腰に腕を回してくるザックスは、昼間だっていうのに完璧酔ってるんだと思う。

「おいザックス…、クラウドから手を離せ。これは俺の物だ」

 とか言いながらザックスから俺を取り上げて抱き締めてくるセフィロスさんも、絶対に酔ってる。
 床には空カンや空ビンが何十個も転がっていて、ワイン一口でも酔ってしまう俺は、心底二人の胃袋を恐ろしいと感じた。
 一番長いソファにはザックスが寝転んでて、一番大きいソファにはセフィロスさんが座ってる。俺はその間にある一番小さいソファに座ってて、何故か二人に取り合われてる。

「英雄なんかにクラウドは渡さねぇ!」

「渡すも何も、元からクラウドは貴様の物ではないと言っているだろう!」

 さっきからそんなやりとりばっかりしてる二人は、本当に相当酔ってるみたいだ。
 外が雨だからって部屋に籠もるのはもうよそう、俺は一人頭の中でそんな決心をした。

「ん…?」

 ふと目に付いたのは、セフィロスさんの飲み掛けのワイン。どうやらザックスとの口論に夢中になって、忘れてしまっているらしい。

「そうだよ…」

 何で俺だけ素面で付き合わなきゃいけないんだ。

「あっ、クラウド!」

 こっそりグラスを持つと、気付いたザックスが俺を阻止しようとする。でもすでに口元まで運んでいたそれを、一気に口の中に流し込んだ。

「う…」

 口の中に酒独特の辛さや苦さが広がって、つい気持ち悪くなる。だけど次の瞬間には体中が熱くなって、何だかすごく気持ちが良くなった。
 でもやっぱり俺は酒に弱いみたいで、そこから先の記憶はない。


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