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a cage(ルーク)
TALES OF THE ABYSS/ルーク





昔、鳥を飼ってたんだ。
種類も覚えてないけど、小さな小さな可愛い小鳥だった。



俺が誘拐されて何もかも忘れて真っ白な状態で家に帰ってきたとき、そいつは俺の部屋の籠の中ではばたいていた。


窮屈そうに。


ガイにそいつの名前を聞いたら「ピィ」というのだと教えてくれた。

そんな可愛い名前ってことはメスなのかと思ったが、俺の予想を裏切ってオスだった。



軟禁状態にある俺にとっては人間以外の話相手はこいつ――ピィか。

ピィしかいなかった。


だからガイやペール、ヴァン師匠と話せないときはピィだけが俺の話を聞いてくれた。


その頃の俺はまだ読み書きを覚えたばっかで、感じたこと・考えたことをいつも思いつくままに話し掛けていた。

もちろんソーサラーリングを付けているわけではないから、ピィはただ小首を傾げるばかり。

それでも、例え理解していなくても、俺の話を聞いてくれることが何より嬉しかった。




ある日、ピィが籠の中でいきなりはばたきだした。

何をしたいのかわからなかったけど、とりあえず籠から出してやった。

そしたらピィは窓にむかって飛んでいったんだ。



俺は焦らなかった。



何故かっていうと、部屋のすべての窓を閉めきっていたからだ。


だから、ピィは出られない。

どこにも行けない。

ここにしか存在できない。




「出してなんかあげないよ」




自由になんかしてやらない。

俺を置いて遠くへなんか行かせない。



ずっと


ずっと



俺たちは一人ぽっちなんだ



それからしばらくして、ピィは死んだ。

広い広い庭の、ペールの花壇の近くに埋めてやった。



なんで死んじゃったんだよ。

俺を一人にするなよ。



俺はこれからずっと生き続けなきゃならないっていうのに。

あの部屋で、ずっと―――

















これは、室内から逃げようとする虫を見ながら考え付いたものです。

旅に出るちょっと前くらいかな



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