その目に魔力あり (忍足)
「ああぁぁぁ!!ぐはぁぁぁ!!」
「なんや・・・どないしてん・・・」
「なんでもない!なんでもないからこっち見ないで!!」
「それが彼氏に言う言葉か?」
「なんでもいいからこっち見ないで!」
その目が・・・その目が・・・そのエロい感じの目が・・・
こっちを見ていると思うと、何故かむしょうに恥ずかしくなる。
彼氏である忍足侑士と隣りの席になれたのは嬉しい。
嬉しいけど・・・
こいつは授業もずっとこっちを見ているのだ。
自意識過剰?
まさか。
本当にずっとこっちを見ている。
好きな人にずっと見られるのは・・・すごく恥ずかしい。
「単刀直入に聞くことにする。
どうしてずっとこっち見てるの?」
「椿が可愛いから?」
「・・・意味のない会話だった・・・」
「じゃあ逆に聞くけどな、何で見てたらあかんの?」
「それは・・・恥ずかしいからだよ・・・」
「俺は別に恥ずかしくないで」
「あたしが恥ずかしいの!
だってホラ、こうやって見つめられるんだよ?」
あたしはじっと侑士の顔を見つめる。
ほんとこいつかっこいいんだよなぁ・・・
ジャ○ーズにでも入ればいいと思うよ。
伊達だとしても、眼鏡似合うし・・・
じっ・・・
・・・そろそろ恥ずかしくなってきた・・・
忍足にこの恥ずかしさを伝えようとしてるのに、
なんであたしが恥ずかしくなってるんだ。
当の侑士はすごく真顔だ。
あたしって・・・情けない・・・
すると、侑士の目つきが変わった。
なんだかいつもの数倍エロい目というか・・・
いやらしい・・・って言うか・・・
「椿・・・」
侑士はそう囁いて、あたしの頬に手を添えて・・・
顔を近づけてくる。
こ・・・これは・・・!!
「ちょ、侑士!?待って、ここ教室だし・・・!!」
「別にどこであろうと関係あらへん」
「いやいやいや!!!あるからね!?
健全な中学3年生としてそれはどうかと思うよ」
「じゃあ健全な中学3年生じゃなくてええわ・・・」
「はいぃ!?ちょ、ほんとダメだって・・・!!」
「忍足、何してんだ。アーン?」
「チッ・・・なんや跡部、俺への嫌がらせか?」
「別に嫌がらせなんてしてねぇぞ。
俺様は水上に委員会の伝言を伝えに来ただけだ」
「おぉ―!なになに??」
「やけに明るいなぁ、椿。
そないに俺とキスするんが嫌やったん?」
「そ、その話はまた後で、ね!!
で、何?跡部」
また侑士の目つきが変わった。
痛い・・・視線が痛い・・・!!
すっごいニラんでる・・・。
授業が始まった。
侑士はまだニラんでいる・・・
これだけ目だけであたしを困らせることが出来るなんて・・・
ある意味すごいな。
きっとこいつの目は魔力を持っているんだ。
そしてその伊達眼鏡がそれを強化させるアイテムで・・・
「椿」
「うおっ!?は・・・はい・・・」
驚きのあまり、大声を出しそうになる。
「俺の目は魔力なんて持ってへん」
「えっ!?なんであたしの心読んでるの!?」
「全部だだもれや」
「うそー!!!んぶっ・・・」
「大声出すなや。ほら、先生に見つかった」
「水上、忍足・・・静かにしろ」
『はい・・・すみません』
「それとも廊下出とくか?水上の独り言もだいぶうるさいしな」
「っな!?独り言!!」
「そうします。俺ら反省してきますわ!」
あたしは未だにキョドっていたが、侑士に手を引かれて廊下に出る。
「ラッキーやったな・・・さて、屋上でも行こか?」
「いやいやいや、廊下でいいじゃん、廊下で!」
「アカン。今日は色々俺もキズつけられてんねんで?」
「あーごめん!謝るから、その魔力を持った目で見つめないで!
呪い殺されそうな気がする!」
「失礼な・・・・・あのなぁ、この目は椿を見つめるためについてるわけで
別に呪い殺そう思て椿を見つめてるわけじゃないねんで?
この視線は愛故にってやつや」
「・・・そうですか・・・」
そこまで言われると反論できなくて、唇を重ねられても抵抗しなかった。
その日の放課後はこっぴどく叱られた。
でも、やっぱり侑士の目には魔力があると思う。
この目で見つめられて、
笑顔を見せられて、
「気にせんでもええやろ」
って言われると・・・
本当に気にならなくなってくる。
その目の魔力は、きっとあたしをコントロールしてる。
――END
なんかアホみたいな話で…どうもすみませんw
ありがとうございました!
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