恋する2人の真っ赤な魔法 (宍戸)
「宍戸の好きなことってなに？」
「…なんだよいきなり」
2人1組の日直。
毎回適当にくじで決めていて、
あたしは宍戸と一緒になった。
そりゃ嬉しいよ、宍戸のこと…好きだし。
「いや、暇だから」
「なら日誌手伝え！」
「あたし黒板消したし、
朝日誌取りに行った！
戸締まりもするもん」
「わかったわかった…」
宍戸はあたしをなだめるように、手をヒラヒラさせる。
「好きなことは？」
「そりゃやっぱテニスだろ」
「他は？」
「他…音楽聞くこと？」
短くなった宍戸の髪を、わしゃわしゃとしたい衝動に駈られる。
「好きな音楽は？」
「洋楽ならなんでもいけるぜ。特にロック」
楽しそうに言う宍戸。
「へえ…ロックかあ…」
なんか宍戸っぽいようなそうでもないような。
あたしは止まらない宍戸の筆跡を目で追いながら、次の質問を考える。
「…じゃあ次！」
「おう、なんでもこい！」
なんだ、ノリ気なんじゃないか、と少し笑ってしまう。
「長太郎くんのことすき？」
「おう、あいつには感謝してるぜ」
「なるほどー」
次の質問は、もうずっと前から決まっていた。
決まってはいたが、覚悟は薄かったので
深く深呼吸をして…口を開く。
「水上椿のこと、すき？」
「水上…椿…ってお前のことだよな？」
「もち！」
「聞いてどうすんだ？」
ちょっと怪訝そうな表情をうかべて、頬杖をついているあたしを見る。
「参考までに」
「…ていうかそれ、友情的な意味でか？それとも……」
言いづらそうな宍戸の表情がたまらなく愛しい。
相当惚れてるな、あたし。
「宍戸の思ったように」
「そうか……じゃあ、
友情的な意味でかなりいいやつだと思ってるぜ…！」
ニコッと笑って、あたしの頭をがしがしなでた。
まるで兄が妹にするようなあのなでかただ。
「ふーん…」
「な、なんだよ」
あたしが細い目でにらむように見つめると、宍戸はちょっとのけぞった。
「おもんない…」
「はあ!?」
「ちょっと期待してたとか言ったら、あたしただの変態だよね〜」
遠回しな告白。
「あ？意味わかんね…」
またもや怪訝そうな表情を浮かべている。
「わかんない？」
「ああ」
「あたしは、宍戸を友達だとは思ってない」
そう言ったとたんに、宍戸の眉間にいっきにシワがよる。
「どういう意味だ？」
「宍戸多分勘違いしてる。
嫌いっていう選択肢と、もう1つ選択肢があることに気づいてない」
「はあ…？友達じゃないなら嫌いってことだろ？」
「友達じゃないけどすき」
「は？」
「友情的な意味の "好き" で宍戸を見てない…」
「は・・・ちょ、お前・・」
宍戸はだんだん赤くなっていって、口元に手をあてて照れ隠しをしている。
「わかったんでしょ」
あたしがちょっと笑って宍戸の顔を覗きこむと、
宍戸は
「激ダサだぜ…」
とつぶやいて顔をそむけた。
「恋愛的な意味で、宍戸が好きだよ」
「っ…んな簡単に言うんじゃねぇよ」
「じゃあどうやって言えばよかったのか教えてよ。
先に好きな人にふられちゃった場合」
「べ、別にふってねぇよ」
「さっき言ったじゃんか、宍戸！友情的な意味でって」
あたしがうつむいた瞬間、宍戸はバッと立ち上がった。
椅子は盛大に倒れる。
「それはだな！その…言えるわけねえだろうが！んな簡単に！」
「ってことは―」
もう頭が見えてる答えをどうしても宍戸の言葉でたしかめたくて、
あたしは上目遣いで宍戸をみつめる。
ボッと突然点火したマッチのように赤くなった宍戸…
だが…
ため息をついて、あたしと目線をあわせて悔しそうに笑いながら
あたしに長いキスをした。
唇が離れたその刹那、漏れた吐息と一緒に
「好きだ、椿」
という囁き。
宍戸が照れているのはわかったが、まさか自分まで照れることになるとは。
「自分から誘ってるような目して、照れてんじゃねえよ・・・」
くすっと笑われる。
「しょうがないじゃん…!!
ずっと宍戸のためにとっといたファーストキス…だしさあ！」
ぽかっと宍戸を殴る。
「まじかよ…!!!!
俺も…だけどな…」
真っ赤な頬をそのままで、宍戸はまた日誌にむかう。
「なんか幸せ」
「そっか…」
「ししっ…あ、亮…は？」
「ああ…すっげぇ…幸せだよ…」
照れながらもそう言った亮の赤い横顔を、あたしはずっとずっとながめていた。
夕日は
2人の頬の赤と同化して
きれいに
魔法をかけた。
END――
どうも、最近宍戸にハマってヤバい良唯です！笑
宍戸いいですね〜あのツンデレ具合がたまらん!!(黙)
良唯はツンデレと眼鏡だいすきですぜ！
それにしても長太郎はいつになったら宍戸から離れるんだｗ
ソロデビューということは…離れたのかな？ｗ
余談はここまでで！ｗ
リクエストは、お相手とシチュエーションをちょちょっと
拍手にでもNEWSにでも書いて下されば、
いつでも執筆いたします＾＾
気軽にリクエストしてください！ｗ
それでは、ありがとうございました^^
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