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恋に堕ちたら  (切原)
「切原!切原!」


あたしは小声で、授業中爆睡している隣の悪魔を起こす。









恋に  堕ちたら        
          -*Happy Birthday AKAYA KIRIHARA*-









さっきの時間は自習だったからよかったものの、それからぶっ続けで寝ているのだ。

そして、今は彼の苦手な英語の時間だ。

授業をまともに聞かずに受けたテストで、精市兄ちゃんが怒らないわけがない。





「切原!精市兄ちゃんに言うよ!」


「うわっ!すんません幸村部長!」



"精市兄ちゃん"


というワードだけでこんなにもすぐに起きるとは・・・。



だけど・・・。



「切原、幸村は今音楽の授業を受けてるはずだから、謝りたいなら音楽室に行け。な?」


切原の起きた時の声はバカみたいにデカかった。


「で、先生にはとりあえず寝てたことを謝れ。

望月が起こしてくれてたから先生は何もしなかったがなあ、もうちょっとで殴ってたぞ」


そう言って、ガタイのいい英語の先生は拳をつくる。


「すんませんした〜・・・」


いかにもどうでもいいというような謝罪の言葉。

あたしは起こしてあげた者として、すごくイラッとした。

切原はその授業中ずっとあたしを呼んでいたけど、あたしは無視し続けた。







「おい!望月!」


終わりの挨拶をしてすぐ、立ち上がったあたしの前に切原が立ちはだかった。


あたしは深く、深く、ため息という名の深呼吸をして、口を開く。


「なに?」


「なんで無視すんだよ!」


「授業に集中したかったからに決まってんでしょ!

あんたみたいなバカとは違うんですーっ」




憎たらしさ満点の言葉。



ああ、どうして気休めのような言葉が言えないんだろう・・・。






高等部に上がってすぐ、幼なじみの精市兄ちゃんを見にテニス部を訪れた時・・・

ちょうどテニスボールが顔面に向かってに飛んできたのだ。

突然のことに体が硬直してしまって、当たる!と思った瞬間のこと。





「っと!ぶねぇなあ、もちっとコントロールできねぇのかよ!」




同じクラスで、中学の時テニス部で精市お兄ちゃんと

同じレギュラーだったと聞いていた切原赤也が助けてくれた。


「お前同じクラスの望月だよな!大丈夫か?」




その時の笑顔とカッコよさに惚れたというのに・・・!




実際仲良くなったら、その印象は瞬く間に消え去った。




性格がまるで悪魔だ!




精市兄ちゃんが魔王だから、その子供の悪魔!



だけど・・・たまに優しいとこもあるし・・・

笑顔はやっぱり変わらず素敵だし・・・

あたしが切原のことを好きなのは確かなことだ。


否定できない事実・・・


大袈裟だけど、あたしはまるで悪魔に魅せられてしまった堕天使のようだ。


「そうかよ!俺は勉強はバカかもしんねえけど別にテニスがあっからいいんだよ!」


「あっそ!何年かかったって精市兄ちゃんには勝てないけどね!」


「うるせー!」


だいたいお前と幸村部長ってなんなんだよ・・・とか呟きながら、英語のノートを開く切原。


そして何故かあたしをじっと見つめる。




少し真剣みのあるその表情。



「な、なによ!」


当たり前のように頬が紅潮する感覚がわかる。

すると切原はニヤっと笑って・・・


「何赤くなってんだよ・・・クククク・・・意識してんのか?バーカ!」


頭にきた。

乙女のトキメキを「バカ」呼ばわり!

信じられない!


こいつは本当に悪魔だ!


あたしが泣きそうになっているのにも気付かず、声を出して笑う切原。


「ははは!お前が俺を意識なんかしてるわけねぇよな。わかってっけど、

今の顔は相当まぬけだったぜ?

ククク・・・・・・・・・っでさ!英語のノート貸してくんない?」


あげくの果てには、恋心の存在自体を否定しやがった切原はのんきに笑っている。

それでも好きだと思ってしまうあたしは、本当に堕天使だ・・・。


「はあ・・・もうなんか慣れたわ・・・もってけ泥棒・・・」


気の抜けきったあたしは思いっきりうなだれた。



「望月」





名前を呼ばれて、重い首をゆっくり上げた・・・――――――






「・・・っな!!!!」


「・・・ごち・・・」



不意に唇に、流れるような生暖かさ。




キスじゃなくて、もっと違う・・・。




満足そうに舌で自分の唇を舐めるこの悪魔・・・。




「い、今っ!ぺぺぺ・・・!ちょっ、あんた何してんのよ!!!」


あたしの唇に流れたのは、切原の舌だった。

あたしはとっさに唇に手を当てて、極度の体温上昇に耐えた。



なんだ、今のは。



心臓が口から出そうなぐらいあたしは動揺と緊張を感じていた。



「何って・・・キスっぽいこと・・・?」


「こ、こんなんまるで・・・って違う違う!な、なんでこんなことしたのよ!」


どうかあたしの頬、これ以上赤くならないで!


「望月の味、知りたくてさ・・・なんつってな!」


これじゃあ本当に堕天使になってしまう!


「もういい加減にしてよ!」


恥ずかしさやら緊張やらがめちゃくちゃになって、あたしに押し寄せてくる。


あたしの腕をつかんで、目の前の悪魔はまた囁く。

 

「・・・俺、お前のこと好きなんだけど。お前はどうなわけ?」



いじわるな悪魔はどうしてもあたしを堕としたいらしい。



真っ赤に染まった頬で、もう十分わかるくせに!




「・・・好きだよ・・・」




だからあたしはまっ逆さまに堕ちてやった。



悪魔はニヤッと笑って、

人の視線も気にせず堕ちたあたしを抱き締めた。
















――END















なんか話がつながってないですね〜あはは!(
誕生日ネタにすると、季節が限られてしまうので
わざと季節感をあいまいにしました。
ということで切原赤也ちゃん!(
ハッピーバースディ!!!
貴方は良唯の勝手な妄想によって15歳になりました(
これからも小悪魔な赤也でいてく(殴


お、お粗末様でした…(

08.09.25 良唯

 


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