2200hit(エリオズ)3 「では、また機会があれば」 「はい、こちらこそ、よろしくお願いしますね」 なんとか良い印象をつけて会話を終える。 オズはと、あたりを見回すが、それらしい人影がない。 「あれ、オズ?」 「あなたのパートナーの方ですか?」 「え、あ、はい」 「5分前位に外に出て行かれましたよ。気付かなかったんですか?」 「え?」 全く気付かなかった。 あいつは一体何をやってるんだ。 「ありがとう。探してくる」 お礼を言い、会場から去る。 廊下に出た時の静寂が、なぜかドクドクと鼓動を早くした。 なんだ、これは。 胸騒ぎがする。 ◆ 本気で、やばい。 確かに今までに攫われたことくらいあるし、その際に殴られたこともある。 しかし、性的な意味で襲われるのは初めてで、どうしていいか分からない。 かと言って、泣いて叫んで縋るのは俺のプライドに反することで…、 なんて、言ってる場合じゃないのは分かってるんだけど、実行に移せないまま、ただ俺は妨害して時間稼ぎをすることしかできなかった。 「や…」 首筋に舌が這う。 一気に全身の鳥肌が立った。 男の手が後ろに伸び、背中のファスナーに手をかける。 いや、これはもう、プライドとか気にしていられないだろ!! 「誰か!!誰か、助けて!!」 甲高い声で叫ぶ。 男声で叫ばなかったのは、これまた俺の小さなプライドだ。 しかし、辺りはシンとしたまま、誰かが駆け寄ってくる気配はない。 小さく舌打ちをする。 それとは対照的に男はにやっと口角をあげて笑った。 「誰も来ないみたいだね。君はもう観念して…ぐあっ」 「てめぇは何男に襲われてんだよ!!」 投げ飛ばされた男はそのまま気を失ったらしく、動かない。 エリオットは俺の腕をとると、その場から走り出す。 「俺だって、すきで襲われたわけじゃない」 「お前はな、もっと他人からどんな目で見られているか考えろ。後、油断は禁物だ!!」 「油断は、してなかったとは言わないけど」 大分先ほどの場所から離れた場所で、エリオットが足を止める。 体力バカのエリオットに引っ張られたせいで息苦しく、肩が忙しなく上下する。 すると、俺に背を向けていたエリオットがこちらに振り向く。 両肩に両手を乗せられ、互いの視線が交差する。 離せずにいると、エリオットは「とりあえず」と言葉を紡いだ。 「お前が、無事でよかった」 本当に安心したような、そんな顔で微笑まれる。 なんだこれ。 走った後とはまた違う、早い心臓の動きに戸惑う。 これ以上直視していたらどうなるか分からなくて、俺は視線を反らした。 「ありがとな。その、助けてくれて」 俺らしくないお礼の言い方だったと思う。 けど、わざとやっているわけではないので、どうしようもない。 しばらく沈黙が続いて、何も言わないエリオットにしびれを切らした俺がエリオットを見上げると、エリオットは口に手を当てて顔を赤くしていた。 「え?エリオット?」 目を丸くしたのと同時に、引っ張られエリオットの胸へと導かれる。 「お前、反則だろ」 反則と言われても、何のことか分からない。 ただ、なんだか、エリオットが愛しく感じて、俺はエリオットの背に自分の腕を回した。 反則主義 (あーあ、本当に若いっていいデスね) ◆ ブレイクは一部始終見てました。 こうなることもなんとなく予感。 本家のオズの女装が可愛かったのを思い出して、書き上げました。 . |