2200hit(エリオズ)2 「エリオット君じゃないデスかー」 「ザークシーズ…」 「どうせお父さんにでも頼まれたんデしょう?お疲れ様デス」 「ははは…」 覇気のない笑い方をするエリオット。 バレたらどうしようとか考えているんだろう。 どうせ、そんなことしなくたって、 「あれ、エリオット君」 ちらっとこっちを一瞥し、にこっとブレイクは笑いかける。 「男色の気でもあったんデスか?」 やっぱり、すぐバレた。 「んなわけねぇだろ!?」 「あれ、そうだったんデスか?予想では君は結構前からそうだった気がするんデスが」 「!!」 「まあ、もうちょっと恋人らしくしないと私以外にも分かってしまう人、出てきちゃいますヨ。例えば、手をつなぐトカ」 そう言って去っていくブレイク。 しかし5歩ほど離れたところで、あ、そうそうと、こっちを振り向いた。 「あまり、目を離さないことデスね」 それから今度こそ、本当にブレイクは人ごみのなかへ消えていった。 「やっぱりバレちゃったね」 あっけらかんと言ってやれば、エリオットはこっちを睨んだ。 なんだよと、その視線を外さずにいれば、エリオットが小さく何かを呟いた。 「え?」 上手く聞き取れず聞き返せば、だからとエリオットはこっちが心配になるくらい顔を真っ赤にして、手を強く捕られた。 「この俺が直々に手をつないでやる」 そう言って顔を背けるエリオットだが、赤に染まった耳が全く隠れていない。 しばらくきょとんとしていた俺だが、次第に笑いがこみあげてくる。 「じゃあ、そのかわり放さないでね?」 わざと耳元で囁いてやれば、さらに紅潮していくのが分かった。 ◆ 主催者の挨拶が終わり、比較的パーティーは滞りなく進んだ。 エリオットは他の貴族と交友を深めたりしている間、俺はつまらないからとその近くで飲み食いを繰り返していた。 やばい、食いすぎたかも。 暇だしと手を止めずに口に放り込み続けたせいだろうう。 大分腹がキツい。 エリオットを見やれば、楽しそうに女の人と談笑していた。 少し席外しても、大丈夫だよな。 そう考え、パーティー会場から抜け出す。 廊下は分厚いドアで会場と区切られているため、シンとしている。 詰めていた息を吐き、何処に行くでもなくただ廊下を歩く。 コツコツと歩きにくいハイヒールが規則正しい音を響かせる中、新しくこちらに向かって靴音が聞こえる。 それに顔をあげれば、目の前には20歳後半くらいの男がいた。 軽く会釈をし、通り過ぎようとする。 すると、とつぜん腕を掴まれ、ひっぱられた。 「え、ちょっ!!」 抵抗しようにも力の差がありすぎる。 俺は引きずられるままに、パーティー会場から少し離れた死角になりそうな場所へ連れて行かれた。 「…っ!!」 ガンっと壁に押さえつけられ、衝撃に目を瞑る。 「な、にするんですかっ」 「君、可愛いね」 「はあ?」 会話が成り立たない。 いや、そんなことよりも。 これはちょっと、やばいんじゃないだろうか? 「俺のものにしちゃってもいいかな?」 そう言って、男の顔が近づいてくる。 ぞわっとした悪寒が走った。 「ちょっと、本当にやめてください」 護身用の銃もパーティーの席ではと、今は持っていない。 だからと言って、こんなとこで男に襲われてたまるか。 渾身の力で拘束されている手に力を込める。 「そんなに嫌がらなくてもいいじゃないか。僕と既成事実が作れれば、君は膨大な富を得たまま一生を終えることができるのだから」 「お金なんていらないから、放せ!!」 「仕方ないな」 小さくため息をつく男に、簡単に引きさがってくれたと安堵する。 しかし、束の間、壁に押さえつけられていたはずが、世界90度反転し、床に拘束される。 「お転婆なお姫様は、力づくで言うこと聞かせないと」 「ちょっと、やめ…んっ」 唇に噛みつかれ、しばらくして口内を舌で蹂躙させられる。 気持ち悪い。 こんな見ず知らずの男にキスされて、気持ちいいという奴もいないとは思うけど。 それでも、嫌悪感しか感じられない。 男の手が徐々に体をまさぐり始める。 誰か、誰でもいいから、助けろ!! ◆ . |