クオレン よく聞き慣れた声。 この声は、 「え?レン?」 「ご名答」 「じゃあ、隣の部屋にいるのは?」 「俺に扮装したリンとカイト」 苦笑いしつつ、見えない壁の向こう見つめるレン。 俺はと言えば、混乱中の頭に浮かぶのはたくさんの疑問符だった。 「お前、カイトのこと好きなんじゃないのか?いや、むしろ、カイトだってレンのこと…」 「俺が好きなのはずっと前からミクオだよ?カイトはリンと一年前から付き合ってるし、っていうかカイトがどうかしたの?」 頭がついていかない。 えっと、つまり、 どういうことなんだ? 「騙してごめんね?最近ミクオ俺のこと避けてるから、何でなのか話したくて、リンに家に連れてきてもらったんだ。そしたら、あいつらなんか変なことやってるし」 「別にいいよ」 申し訳なさそうに眉をハの字にするレンに、なんとなく少しずつ状況が掴めてきた。 いや、例え掴めていなくても、一つだけ確かなことがある。 それさえ分かっていれば、もうなにも怖いことなんかない。 「それよりさ、俺のこと好きなんだよね?」 言えば、顔を真っ赤にするレンにつまり肯定なんだと受け取る。 ぐるんと半回転させて位置を逆にすれば、レンが俺の下に収まった。 レンは頬を紅潮させ、さっきまでの名残で目の辺りが濡れている。 ドクッと言い知れない感覚が体を苛んだ。 「……抱いていい?好きな人にそんな顔されたら我慢できない」 相当今俺は目をぎらつかせているのだろう。 逃れるように、絡み合った視線を外したレンは、しばらくして意を決したように震える声で告げた。 「抱いてください」 . |