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すれちがい5


渡り廊下に出てみればカイトの青い髪が僅かに見えた。
あれ?なんて疑問に思いながら近づけば抱き合う二人がそこにいた。





目の前で見てしまったことは、すべて嘘だと信じたかった。


はは、なんだ。
そうだよな。

勝手にもしかしてなんて考えて、浮かれて、馬鹿みたい。
当たり前じゃん。
なんで気付かなかったんだろう?
カイトみたいな人気者は、こんな普通で何の取り柄もない男なんて好きにならないよ。

分かってたのに、

コンクリートがぽたぽたと濡れる。

分かってたのに、どうして勘違いしてしまったんだろう。


俺はその場から駆け出していた。
そのまま校門を通り抜ける。
今カイトの顔を見れる自信はなかった。
もうすぐ約束の時間だ。
けど、足はもう裏門ではなく自宅の方へと向かっていた。
夜カイトに電話しよう。
ごめん、用事ができて行けなかったって言って、それから
それから…

「「わっ!!」」

下を向いて走っていると、不意に誰かにぶつかった。
泣いてるのを見られたくなくて、軽く謝ってすぐ横を通り過ぎようとしたら腕を掴まれた。

「レン?」
「え?」

声に心当たりがあって、思わず顔を上げる。
視線が合うや否や、顔を顰めたミクオはそのまま俺の腕を引っ張って走り出した。
突然のことについていけない。
だけど俺はもう何も考えたくなくて、ミクオに身を任せた。





あの後彼女と別れた俺は、裏門へと足を運んだ。
時間はあと3分。
もしかしたら、レンのことだし時間前に来るんじゃないかと思っていたけど、予想は外れたみたいだ。

まだまだ寒いこの季節。
木は丸裸で、吹いた北風が肌を切る。

でも今日伝えるんだと思うと、そんな冷たさも気にならなくなっていた。
息がしにくいほどの緊張に、もういっそ早く来てほしいと願った。
このままじゃ、心臓が持ちそうにない。






あきゅろす。
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