すれちがい5 ◆ 渡り廊下に出てみればカイトの青い髪が僅かに見えた。 あれ?なんて疑問に思いながら近づけば抱き合う二人がそこにいた。 目の前で見てしまったことは、すべて嘘だと信じたかった。 はは、なんだ。 そうだよな。 勝手にもしかしてなんて考えて、浮かれて、馬鹿みたい。 当たり前じゃん。 なんで気付かなかったんだろう? カイトみたいな人気者は、こんな普通で何の取り柄もない男なんて好きにならないよ。 分かってたのに、 コンクリートがぽたぽたと濡れる。 分かってたのに、どうして勘違いしてしまったんだろう。 俺はその場から駆け出していた。 そのまま校門を通り抜ける。 今カイトの顔を見れる自信はなかった。 もうすぐ約束の時間だ。 けど、足はもう裏門ではなく自宅の方へと向かっていた。 夜カイトに電話しよう。 ごめん、用事ができて行けなかったって言って、それから それから… 「「わっ!!」」 下を向いて走っていると、不意に誰かにぶつかった。 泣いてるのを見られたくなくて、軽く謝ってすぐ横を通り過ぎようとしたら腕を掴まれた。 「レン?」 「え?」 声に心当たりがあって、思わず顔を上げる。 視線が合うや否や、顔を顰めたミクオはそのまま俺の腕を引っ張って走り出した。 突然のことについていけない。 だけど俺はもう何も考えたくなくて、ミクオに身を任せた。 ◆ あの後彼女と別れた俺は、裏門へと足を運んだ。 時間はあと3分。 もしかしたら、レンのことだし時間前に来るんじゃないかと思っていたけど、予想は外れたみたいだ。 まだまだ寒いこの季節。 木は丸裸で、吹いた北風が肌を切る。 でも今日伝えるんだと思うと、そんな冷たさも気にならなくなっていた。 息がしにくいほどの緊張に、もういっそ早く来てほしいと願った。 このままじゃ、心臓が持ちそうにない。 |