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すれ違い3




決戦当日。
『ずっとレン君のこと好きだったんだ、良ければ付き合ってください』
心の中で何度も予行練習した言葉。
大丈夫、言える。
逃げたくて仕方ないけど、逃げてもどうにもならない。
約束の時間まであと30分。

「もうそろそろ、行こうかな」

待ち合わせた場所はもう使われていない錆びれた裏門の前。
誰も来ることはない静かなその場所なら、何も不安に思うことなく伝えられると思った。
よし、と自分に気合いを入れて教室から出ようとする。
と、突然腕を掴まれた。

「あの、ちょっといいかな?」
「え?」

俺の腕を拘束しているのは、クラスメートの女の子だった。

「えっと、これから僕…」
「伝えたいことが、あるの。少しだけでいいから」

どうしようと下に視線を向けた時、僕の腕を掴む手が震えていることに気が付く。

すごく、緊張してるんだ。
気付いたら、なんとかして応えてあげなきゃと思った。
大丈夫、まだ30分もある。
いつものように15分で終わったとしても、まだ15分もあるんだから。

「分かった。行こう」





バクバクバクバク

なんで緊張してんだろ、俺。
さっきから心臓がうるさい。

「もうすぐ?」
「う、うん」
「行ってらっしゃい」

ミクオが背中を軽く叩く。
頑張れよと応援してくれているのだろう。

こいつってほんと、優しいんだか優しくないんだか分からない奴だ。
でも、この励ましは今の俺にとってはすごくありがたかった。

行ってくる、とミクオと別れて、当てもなく廊下を歩く。
もうすぐと言っても、時間はあと30分もある。
どうしようかな…。
戸惑って意味もなく右往左往していると、そうだと思いついた。
落ち着かないし、自販機に行ってジュースでも買おう。
そうと決まったらすぐ行動。
足早に、俺は一階の渡り廊下にある自販機へ向かった。





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