◇テニプリ◇ 1 パコーン、パコーン・・・! リズミカルなボールを打ち込む音がコートに響く。 ここ、青春学園中等部はテニスの名門校。 レギュラー陣はかなりの腕前だ。 体格も良く、立っているだけで目立つような存在感。 その中で、異質な部員が1人。 小柄で、適度に筋肉はついているものの、細身で・・・。 そして、相手を見やる時の挑戦的な態度と視線。 彼の名は越前リョーマ。 テニス部にとって前代未聞の1年レギュラー。 まだ幼さの残るその顔は、テニス部にとっての玩具・・・い、いや・・・マスコット的存在。 実は、テニス部のレギュラー+αは皆、リョーマを狙っているのだ。 「おちび〜」 ガバッ! 「ちょっ・・・!な、何スか!?菊丸先輩」 リョーマを狙う部員No.1 菊丸英二 彼はいきなりリョーマに抱きつく。 この抱きつく行為は日常茶飯事。 リョーマは半分諦めかけている。 それを見ていたのは・・・ 「英二、越前君に触れていいのは僕だけだよ?」 静かに怒りの炎を燃え上がらせるは、 リョーマを狙う部員No.2 不二周助。 「越前君から離れて、英二」 「や、やぁだよ〜♪」 菊丸はさっきよりも深くリョーマを抱き込んだ。 「ちょ、ちょっと!菊丸先輩、苦しいっスよ!」 不二は菊丸の行った行為に怒りを増している。 バックに怒りの炎が見えるようである。 そこへ間に割って入ってきたのは・・・ 「ちょっと〜、菊丸せんぱ〜い。越前嫌がってんじゃないっスか」 リョーマを狙う部員No.3 桃城武。 「なんだよぉ、桃。先輩に逆らうのかぁ?」 「いいから、越前を放して下さいよ!」 桃城はリョーマの右腕を掴み、菊丸は負けじと左腕を掴み、まるで綱引きならぬ、リョーマ引き状態である。 「いっ、ちょ、ちょっと・・・先輩達、痛いっスよっ!」 双方から引っ張られれば痛いはずである。 そして不二はといえば、チャンスとばかりに真ん中にいるリョーマに近づき、ろくでもないことを言った。 「ねぇ、助けてあげるから、僕の恋人になってよ♪」 いつもより満面の笑みで脅迫じみたことを言った。 隠す気もないらしく、普段通りの声で言ったので、当然、その台詞は引っ張りあっている2人にも聞こえた。 [次へ#] [戻る] |