PSYREN夢
橙色の悪戯/遊坂
「よぉ名前、Trick or treatー♪」
「ん…ああ、今日かぁハロウィン」
相変わらずワンテンポ遅い反応。
「おい…こういうのって普通女のがうるさいもんじゃねぇのか?」
そばのソファへ腰を下ろす。
名前はすぐに持っていた書類に目を戻した。
「別に結局何するわけでもないし、街はここ一ヶ月ずっとハロウィンだし、どうでもいいってゆーか。でも雰囲気は好きよ」
「イベントってのは盛大に楽しむもんだぜ」
実は俺も今日が当日だとさっき気づいたけど。
「世間に馴染めないの、ほっといて。あ、飴玉あげよっか。あんたキャンディ・マンだし」
「意味が違うんだよ」
「あめちゃんあめちゃん…あった」
ハロウィン仕様のきらきらとしたオレンジや紫に包まれたキャンディが、鍵やらペンと一緒に白衣のポケットから出てきた。
「……飴はいいからお前が食べたい」
「さらっと何言ってんのヘンタイ。ほい、はっぴーはろうぃーん」
抑揚のない声でキャンディを投げつけられた。ほんとムードも何もない女だ。……俺も同じか。
呆れながら俺はオレンジ色の包みからキャンディを一つ口に放り込んだ。
「あたしもお菓子欲しいなー。Trick or treatー」
名前が椅子に跨がりくるくると回りながら言う。
「ないから俺をくれてやるよ。好きにしな」
真顔で両手を広げて見せれば名前はけろっとした顔で、相変わらず期待に添わない反応だなぁと思っていると、そのまま立ち上がって俺のそばに来た。
「…ほんと?ほっぺつねっても怒らない?」
「は?」
名前は何故か目をきらきらさせて俺の顔に手をのばす。
が、俺がそれよりも先に彼女の頬を捕らえた。
「いだだだだだなんでそうなる」
「そりゃこっちの台詞だ」
「日頃の恨みおもいしれ…だだだちょ、女の子なんらからさ、もーちょっと加減を……いだいいだい」
放してやると名前は両頬をおさえながらきっと睨んできた。
「この毒男め」
「それどういう意味で?」
「そのまんまの意味!」
むくれる彼女に何を思ったかは言わない。
涙目で頬をおさえるその手の上から手を添えて
そのまま引き寄せてキスをした。
「!!」
舐めていたキャンディを名前の唇に渡してころんと移す。
唇をぺろりと舐めてから放してやると彼女は目を真ん丸に開いて驚いている。
「Happy Halloween♪」
髪を撫でれば瞳が大きく瞬く。
きっとその赤い頬はつねった所為だけじゃない。
鈍感なお前にはどんな悪戯が必要?
end.
―――――――――――
なんか力尽きた(^q^)
ありがちなネタですね。あめだまー
ハロウィン、何もしないけどグッズは大好きです。
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