君の忘れ物
お腹すいても今からなんか作るのがめんどくさかったんで、冷蔵庫に入ってた梅干と鮭と昆布とでおにぎりを作りました。
「ハイ、味は作ってるうちにどれだかわからなくなっちゃった」
「いただきます」
モグモグと食べてれば自分の具は昆布だった。
幸村をみれば口の動きが止まってた。
「幸村?」
「ゆき殿―、某すっぱいでござるー!!」
「・・・梅干かー」
「み、みずを頂けないだろうか・・・」
「ハイハイ」
コップに入れた水を渡せばグビグビと一気に飲み干した。
梅干は一個しか入れてなかったので、それ以外のおにぎりを笑顔で完食した幸村。
「幸村ってさ、甘いのすきなんだっけ?」
「うむ!甘味は大の好物でありますぞ!」
「これ食べる?」
そう言って差し出したのはチョコ。
「なんでござるか?」
「チョコレート。甘さの塊」
とりあえず食べてみろってことで幸村の口につっこんだ。
「むは、ゆき殿!・・・・・・!」
チョコが解けたのだろう。
幸村がまた固まった。
「このちょこれいと、甘くて美味しいでござる!」
「それは良かった」
残りのチョコ全部、幸村にあげた。
とても満足そうな笑顔なんですけど。
幸村がチョコを完食した頃。
(といってもものの1分ほど)
わたしの部屋でケータイの着メロがなった。
そう言えば午後から約束があったからそのメールだろうと部屋へケータイをとりに行く。
ディスプレイを見ればやっぱりそのメールでとりあえず返事を打つ。
ふと部屋のテレビを見ればつけた記憶もないのに戦国BASARAのオープニングが流れてた。
「ゆき殿―!ちょこれい」
わたしの部屋へと現れた幸村。
チョコがなんなんだ。
言い終わる前に部屋から消えていた。
赤いハチマキを残して。
(君の忘れ物)
あんだけ説明もしたのに1日経たずに帰るなよ!
090302
←
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!