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ぬらりひょんの孫 〜天狐の血を継ぐ陰陽師〜
2012年 4月16日 昌彰誕生日企画!
それはある春の朝…花開院家での出来事。

「ゆら、いるか?」

昌彰はゆらの部屋を訪れていた。

「昌彰? 入ってええよ」

「入るぞ…っ!?」「えっ!?」

昌彰とゆらはお互いの姿を見て固まってしまう。

「………ゆら? だよな?」

「昌彰…やよね?」

昌彰はマジマジとゆらの姿を見なおした。

普段のショートカットと違い、腰まで届く艶やかな黒髪を結いあげている。

普段の快活さは影を潜め、羽織っただけの狩衣と合わせてどこか艶《あで》やかささえ漂わせている。

「…///」「…えっと…似合ってるぞゆら…」

「ゆら入るぞ!」

お互いに頬を染め、次の言葉を探しているところに新たに竜二が部屋に乱入してきた。

「ゆら…なんだそのふしだらな髪型は…」

「知らんわ! 起きたら寝癖でこないなっとったんや!!」

っていうかふしだらってなんや!? とゆらは怒鳴り返す。

「くっ…この後修行でメッタ撃ちにしようと思っていたのに…」

そう言って竜二は懐から切断系の呪符を取り出した。

「これではダメだ!!ゆら!切れ!!断ぱ…ゴハァッ!?」

ゆらの髪に手を伸ばそうとしたところで、後頭部から水の塊をぶつけられ、手にした呪符は綺麗に両断されていた。

『女性の髪を手荒にあつかうものではありませんよ?』

背後には神気を纏った天后が、右には筆架叉を携えた勾陣が、正面には天一が笑顔を浮かべて(目は全然笑ってない)顕現していた。

『ゆら、こっちに来て。髪を結いなおしてあげるから』

そう言って太陰が乱れたゆらの髪を整えなおし始めた。

「竜二…。いくら妹の部屋とはいえ、ノックぐらいしろよ…」

「誰だおま………」

呆れ混じりに呟く昌彰に竜二は今気がついたとばかりに目をむけ、そこで絶句した。

「まさか…昌彰か?」

「ハァ…そのまさかだよ…」

昌彰は深く溜息をつくと前髪をクシャリとかきあげた。

全体の髪の長さこそ変わっていないが、前髪は下ろして普段はまとめられている両サイドは顎の位置で切り揃えた俗に言う姫カットになっていたのだ…

しかもそれが妙に様になっているものだからゆらや竜二が絶句するのも頷けるというものだ。

「普段縛ってるヒモも無くなっててな…何かないかと思ってゆらのところに来たんけど…なんかあるか?」

「ゴメン、ウチも普段は髪短いし…ヘアピンくらいしか…」

太陰に髪を整えてもらいながらゆらが申し訳なさそうにそう言う。

「だよな…買いに行った方が早いかな…」「そやね…どこに行ったがええかな」

昌彰の言葉をきっかけに買い物に行く算段を立て始める二人。

「というかおまえらその髪型になった原因は気にしないのか?」

竜二が床に倒れたままそう突っ込んだが意に介した風もなく二人は買い物(という名のデート)へと出かけていった。



その際、二人ともナンパされかけて昌彰がブチキレたのはまた別の話…

ちなみに翌日、元のショートに戻ったゆらが髪を伸ばそうと密かに決意していたりもする…


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