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ぬらりひょんの孫 〜天狐の血を継ぐ陰陽師〜
第二十二夜 白昼夜 〜交差する探偵と魔術師と陰陽師〜
小中高一貫校…『木ノ花学園』。高等部だけで二千人近い生徒が在籍するこの学園には、他の学校には普通存在しえない委員会が存在する。

高等部四名、中等部一名、そして初等部二名(・・)。

合計七名の委員を擁し、高等部の理事長室を根城にするその委員会。

その名を『本格推理委員会』という。

全校生徒合わせて七千二百人余り、関係者を含めると一万人を超える人間が出入りする木ノ花学園。

そこで日々産み落とされる事件を解決するために、探偵の資質を持つ少年少女達を集めて組織された、それが『本格推理委員会』である。

その中に一人、探偵とは別の才を合わせ持つ者が存在する。

イギリス清教、第零聖堂区『必要悪の教会(ネセサリウス)』の一員、魔法名『hoplis666』…『我が存在が人々の希望とならんことを』

陰陽師と魔術師が交わる時、新たな物語が紡がれる。

−†−†−†−†−

「た、ただいま〜」

バタンッ!キュ〜…

そんな漫画みたいな音を立てて、ゆらは玄関に倒れ込んだ。

「ゆら、こんなところで寝るな。寝るなら布団に入れ」

続いて入ってきた昌彰は呆れたように言ってゆらの頬を軽くつついた。

「ふみゅ〜…むにゃぁ…」

しかしゆらは完全に夢の世界に行っているのかくすぐったそうに反応するものの起きだす気配は無い。

「ま、あれだけの激闘が続けば仕方ないか…」

悪徳陰陽師との対決に、暴れ出した吸血鬼の殲滅。果てには…

(詳しくは夢幻さんの『本格推理委員会』の「コラボ事件! 孫と孫の血を継ぐ者と白髪の魔術師」を参照してください)

そう呟いて昌彰はゆらの背と脚に腕を入れて抱え上げた。所謂お姫様抱っこという状態である。

もっともゆらは完全に眠りについており、気付くことはなかったが。

「朱雀、すまないが布団を敷いてくれないか?」

ゆらの部屋に入ると昌彰は朱雀を呼び出した。

『…俺は布団係か?』

金色の瞳に険を滲ませ、朱雀が顕現する。

「いや、誰でもよかったんだが弄るならお前が適任かなと」

『それだけのために呼ばれたのか!?』

「ま、それは置いといて早くしてくれ。いくらゆらが軽くても疲れる」

『……わかった…』

苦虫をかみつぶしたような顔をして朱雀が敷いた布団にゆらを寝かせ、そこで昌彰は手を止めた。

「……」

ゆらは帰ってそのまま眠ってしまったため、服装もそのままだ。

「……………………」

昌彰は布団の側に片膝をついたまましばらく沈黙していた。

頭の中では悪魔(情動)と天使(理性)が壮絶な戦いを繰り広げているのだが、傍から見たら完全に凍結(フリーズ)しているように見えただろう。

やがて脳内で決着がついたのか昌彰は黙ってお手上げだというように両手をあげた。

「天后、天一。ゆらの着替えを頼む」

『承知いたしました』

昌彰はそそくさと部屋を出る。時刻はまだ九時過ぎ。

そのまま寝るには少々早い。昌彰はお茶でも飲もうと台所に立った。

「しかし…これどうしたもんかな?」

湯気の立ち上るカップを手に自室に戻った昌彰はそう言いながら友人、速水零牙の忘れ物であるデジカメを見つめる。

「ゆらに見つかったら怖そうだし…」

その中に納められているのは昌彰の友人の零牙の想い人であり、ゆらの友人でもある少女、菅原雅の姿。

それだけなら何も問題はない。だが…見つかったら昌彰の命はともかく零牙の命は危ないかもしれない。

「うん。早いとこ返しに行こう…だけどその前にあれの封印処理についても考えなきゃいけないか…」

昌彰はそう言ってデジカメを引き出しに仕舞い、呪符入れから一枚の名刺を取り出した。

水晶の透かしの入ったそれに書かれていたのは…

『魔法使い派遣会社 アストラル』
 代表取締役社長  伊庭 司
  『あなたのご要望にあった魔法使いお貸しします』

先日、実家に帰省した際に渡されたものの一つだ。

パソコンを起動してメール作成のページを開いた。

名刺を見つつ、アドレスを打ち込み、仕事を依頼する旨を添えて送信した。

「今週末には片付けて来週末くらいに零牙のところへ行くかな」

昌彰は壁にかけてあるカレンダーを見ながらそう呟いた。

††††

ところ変わって、不知木町−木ノ花学園

燦々(さんさん)と降り注ぐ夏の日差しが学園中央部に生えている巨大な樹の影を周囲に落としていた。

その影の中で幾多の蠢く者がある。この暑いなかスコップと鶴嘴《つるはし》を振るい、地面に人がゆうに五人は入りそうな大穴をあけている。

ここはFFF団(異端審問会)が構える異端審問の場。

「墓穴はまだか!?」

そこに会長を務める須山の声が響いた。

「あと少しです! 放り込んだら即座に埋め立てられるように準備しております!」

「うむ! コンクリートも用意しておけ!」

「いや、『うむ!』じゃない! なんで今回は即座に埋められるんだ!? というか埋めるのが前提だよなコレ!?」

せっせと土が掻きだされていく穴の側で、白い髪のミノムシ…じゃなかった。ロープでぐるぐる巻きにされた『本格推理委員会』の主人公速水零牙が吠えた。

「だいたい、なんで相手方の主役のオレの扱いが登場からこんななんだ!?」

―コラボだからだよ零牙くん。キミの生みの親、夢幻さんからやっちゃっていいって許可は下りている。

「(あいつ…帰ったら覚悟しとけ!!)」

零牙が密かに作者(夢幻)暗殺を決意したその時、無情にもその命が奪われる瞬間がやって来た。

「会長! 準備完了しました!」

「よし! それでは…速水…さよならだ…」

須山は寂しそうな声で言いつつ、満面の笑みを浮かべながら零牙から伸びたロープに手をかける。

「待て! 待ってくれ!! せめて罪状を読みあげろ! 大体、俺とミアの交際に関しては承認しただろうが!?」

零牙は必死で叫ぶ。今回に関しては周りの異端審問会のメンバーの殺気がこれまでの比ではない。

「ふむ。よかろう…早川審問官! こやつの罪状を読みあげてやれ」

「イェッサー!」

零牙を取り巻いた人垣が割れて、一人の青髪の男が進み出る。

「リュウッ!?」

零牙は親友の早川龍之介の登場に驚きで目を見開いた。

「なんでだお前?! この前お前はこいつらに裁かれたじゃないか!?」

この期に及んでまだ味方するのか!? と叫ぶ零牙を龍之介は華麗にスルーした。

「被告人速水零牙(以降この者を甲とする)は先日、クラスメイトにして彼女の菅原雅(以降この者を乙とする)と旅行に行くという背信行為を行っております! しかもお泊り込みの!! さらに部屋は一緒でダブルベッドだったと!!!!」

「どこまで調べた!?」

零牙の驚愕の声をBGMに、周囲から物理的殺傷能力を持つほどの殺気が零牙の全身に突き刺さる。

「レイッ! お前という奴は…」

『なんてやつだ…』『恨めしい…』『もとい、羨ましい…』

嫉妬と怨嗟の呻きが周囲の人垣からさざ波のように聞こえてくる。

「ちょっと待て! それを言ったらこの前お前もオレ達と一緒に海に行っただろうが!?」

「あれは委員会の行事! 今回のお前のは完ッ全にプライベートだ!!!」

零牙の抗議の叫びは龍之介に完全に一刀両断された。

「もういいだろう早川審問官。それではこれより速水零牙の処刑を行う!」

『『『『オオオオーッ!!』』』』

地の底から響くような声が唱和する。

「待て待て待てーっ!!」

♪〜♪〜♪〜(運営の規定により歌詞は削除しました…)

突如として零牙の方からアップテンポな曲(少年○陽師のOPテーマ、『笑顔○訳』:曲名は平気なはず…)が聞こえてきた。

「な、何だ?」

「会長! 携帯電話かと!」

(これは…白の方か…メールだな)

零牙は聞こえてきた曲に微かに安堵した。白い方の携帯なら見られてもさほど問題ではない。

黒の方はロックが掛っているから見ようと思っても見られないが…

「探知されると面倒だ。回収しておけ。ついでに返信もだ。犯行時刻が特定される恐れがある」

「了解しました!!」

意外と気のまわる須山の指示で龍之介は携帯を開いた。プライバシーのことなぞこの異端審問の場においては瑣末な問題だ。

「安藤昌彰という人物からのメールです。内容は今月末こちらに来るとのこと」

「ふむ…。都合が悪いとでも返しておけ。予定が決まったら連絡すると」

「あ、添付ファイルがあります。おおっ!? こ、この前撮った写真だそうです!」

そう言って龍之介は須山に零牙の携帯を渡した。

「!! こ、これは!!?」

ザワザワ、ヒソヒソ

先程とは違うざわめきが周囲の人垣に広がった。

(この前撮った写真って…あれか!!)

零牙はその反応に一つの活路を見出した。

開かれた添付ファイル。その画面に映し出されていたのは駅前に四人で並んだ零牙に雅、昌彰、そしてゆらだった。

「須山、今度来るのはその写真の二人だ。妹の方はミアの友達でな。みんなに紹介してやっても…「総員! この場で速水零牙を無罪とする! 異論は!?」『ありません!!』…縄を解いてくれ」

最後まで言わずとも汲み取ってくれた須山は即座に零牙を解放した。

「やれやれ…リュウ?」

零牙は友を売った男、龍之介を睨みつけた。

リュウは顔を青くして打開策を探した。

「(! ヤバイ…)須山会長。もう一枚写真が…」

そして、みんなに一周して戻って来た携帯を見て、もう一枚の写真が添付されているのに気付いた。

「!(まさか…昌彰さん、あの写真も一緒に送ったんじゃ…)」

その言葉を聞いて今度は零牙が顔を青くする。

「!!!!…諸君! 再び異端審問を開く! 速水零牙を捕縛せよ!」

「…会長、もういません…」

龍之介が携帯を須山に渡す前に零牙は得意の神速でこの場から離脱していた。

後に残るのは解かれたロープとあまりの速さに呆然とするFFF団のメンバー。

「ふっふっふ…速水零牙よ…覚悟はいいな…?」

再び一同の間を巡る零牙の携帯。その画面を見て、ある者は怒りに拳を握りしめ、ある者は歯を軋らせ、またある者は凶器をその手に携えた。

「行くぞ諸君! 異端者には死の鉄槌を!」

『サーチ アンド デース!!』

木霊するのは飢えた男達の叫び。怒涛の勢いを以て異端者、速水零牙の追跡が始まった。

その場に残されたのは打ち捨てられたスコップやロープ。そして零牙の白い携帯。

その画面にあるのはクレープを片手に頬っぺたについたクリームを雅に舐めとられている零牙の姿だった。

††††

「はぁ…やっと解放されたよ〜」

そう言って、前髪に花飾りをつけた少女はズルズルと壁伝いに座り込んだ。

ちらりと携帯を確認し、何の着信も無いことに不安で顔を曇らせる。

「レイの方は大丈夫だったかな?」

先程異端審問に引き出され、裁かれていた速水零牙の彼女でもある菅原雅である。

雅もついさっきまで美咲と杏をはじめとしたクラスメイトの女子に、この前浮世絵町に行った事を根掘り葉掘り聞かれていたのだ。

「なんとか安藤さんを紹介するってことで見逃してもらえたけど…」

ちょうどいいタイミングで携帯に四人で修に撮ってもらった写真が送られてきて無事に解放されたのである。

ちなみに自分で操作したため、もう一枚の方は見られていない。

「…でもやっぱ恥ずかしいな…」

もう一枚の方の自分と零牙が映った写真を見ながら雅は八重歯を見せて、はにかむように微笑んだ。

††††

「いい加減に諦めろ!!」

その頃、零牙は未だにFFF団の追跡にあっていた。

『逃がすかー!!』『ウォォッ!! 速水を殺せー!!』『二度と太陽を拝めると思うな!!』

クラスメイトが鎌やらマシンガンやらを振りかざして追ってくる光景はなかなかにシュールだ。

「っく…こうなったら!」

零牙はさらに走る速度をあげた。わき道にそれ、再び中央を目指す。

『山下! 左翼を率いて回り込め!』

『了解!』

零牙は追い詰められないように巧みに包囲網の目を抜ける。

『早川! 右翼の指揮を任せる!』

『イェッサー!』

そして追い込まれるように見せながら、最初にいた樹のところへ戻って来ていた。

先程掘られた穴を飛び越え、少し離れた位置にあった小さな社の側を通過した。

「ここなら…」

振り返ってまだFFF団が視界に入っていないことを確認して、零牙は跳躍した。

『待てや 速水〜!!!』『斬る!キル!KILL!』

零牙の眼下を鎌とマシンガンを装備した軍勢が通過していく。

「ふぅ…助かった」

そう言って零牙は樹の枝の上で携帯を開いた。先程ちゃっかり回収したのだ。

表示されたままになっていた画像を保存し、本文を開く。

「『月末にそっちに行くから』か。何かあったのかな?」

再来週から夏休みに入る(※時間軸は気にしない方向でお願いします)。観光にでも来るのだろうか?

「ん?『P.S 大切なモノを忘れて行ったよね?』…!」

零牙は慌ててポケットその他、物が入れられるところ全てを探った。

「うわっ…なんで忘れてたんだオレ…」

目的のものを見つけられずに落胆する零牙。ちなみに探していたものは今現在昌彰の手の中にあるデジカメだ。

「うう…『お願いします。届けてください…できる限り早く…ホントに!』オレにとって命と同じくらいに…いや、それ以上に大切なモノなのに…」

メールを返信して零牙は携帯を閉じた。

「…あんまり遅くなるとミアが心配するからな…急ぐか」

零牙はそう呟くと枝から地面へと滑らかに降り立つ。

その際、何かが欠けているような気がしたのだが、意気消沈していた零牙はその違和感について深く考えることなくその場を後にした。

††††

深夜−木ノ花学園、高等部校舎

「体育館から二階渡り廊下異常なし。後は…『…誰だ?』え?」

学園内を巡回していた警備員はいきなり脳裏へ響いた声に咄嗟に今さっき歩いてきた右側を振り向いた。

体育館から続く渡り廊下は窓から差し込む月明かりに満ちて白く輝き、先まで見通すことができる。

先程異常がないことを確認したばかりで特に不審な点はない。

「気のせいか?…っ!」

警備員が再び前を向いたその先。そこには白い…まるで死装束のような着物を纏った人影があった。

白い光の中でそれがもつ黒い髪が異常な闇のように浮かびあがって見える。

「な、な…」

振り返ったその影の顔、そこにあったのは鬼の仮面…

『わ…を……者は…誰だ?』

その影はひどく耳障りな、それでいて聞き取りづらい声で何かを呟いている。

そして、恐怖で身がすくんでいる警備員を尻目に廊下の角を曲がり、警備員の視界から消えた。

「ま、待てっ!?」

視界からその影が消えた瞬間、金縛りが解けたかのように警備員は駆けだした。

人影が消えた角まで走る。それにかかった時間はおよそ二、三秒。

「…いない?」

角を曲がった先に見えるのは無人の廊下。教室は実験室や教材室で鍵がかかっており、入ることはできない。

「おい! 何かあったのか!?」

叫んだ声が聞こえたのだろう、三階から同僚の警備員の声が聞こえた。

「ああ! そっちに誰も来なかったか!?」

教室の廊下は長さ六十メートルほどある。二、三秒で向こうまで走り抜けるのはほぼ不可能だ。

唯一の逃げ場となるのは三階へと続く階段のみ。先程の女が逃げたのならばそちらしかありえない。

図解(パソコンで作成しています)
見にくかったらすみませんm(._.)m
      ______
教室の廊下____  ●|
      三階へ↓| |
     一階から↓| |___
        |__○____ 体育館への渡り廊下

↓:階段
●:人影
○:警備員

「何かあったのか?」

そう言いながら同僚は階段を降りてくる。

「さっきここに不審な女がいたんだ…そっちに来なかったのか?」

「いや、俺はお前の声を聞いてすぐに階段へ向かったが誰も来なかったぞ…」

同僚は待てと叫んだ声を聞いてすぐに階段に向かったらしい。

三階の廊下から階段の踊り場までは一目で見渡せる。気付かないはずが無かった。

「そんなバカな…実際にそいつは廊下に逃げるか、階段をのぼるしか逃げ道はないはず…」

ありえない現象に警備員の二人は沈黙した。特に直に目撃した方の顔は心なしか青ざめているようにも見える。

「と、とりあえず念のためもう一度巡回しよう。もしかしたらめちゃくちゃ足が速いのかもしれないし、まだ校舎内に残っているかもしれない」

「そ、そうだな。念のため応援も呼ぼう」

その後、二人は合流した先輩警備員達も含め、四人で校舎北棟、南棟、体育館それから事務管理棟等を徹底的に調べたが人はおろか、ネズミ一匹確認することはできなかった。

全てのドアも窓も内側から施錠されており、完全な密室という状況だ。

「何もなかったな…」

「本当にそんな女がいたのか?」

後から応援に駆け付けた二人が疑わしげに振る舞う。

「確かに見たんです!死に装束みたいな白い着物を着て…鬼の仮面をつけていました!」

「…まるで夜叉だな。ホラー映画の見過ぎじゃないのか?」

必死で目撃した警備員は力説するが、応援に来た先輩警備員に軽く流される。

「だけど、あの威圧感は…」

「疲れが出たんだろう。明日は休暇を取るといい、幸い明日も私が責任者だ。問題ないように取り計らっておこう」

さらに言い募ろうとしたところで険悪になりかけた空気を最年長の警備責任者が抑えた。

「そう…ですね。少し疲れていたのかもしれません」

「そうだぞ。最近お前ずっと休日出勤とかが重なっていただろ? 少しは休め」

目撃した警備員が無理やり自分を納得させてその日は警察が来ることもなく終わった。

だが、話はそれで終わりでは無かった。翌日には管理棟の巡回担当が。

その翌日には中等部の校舎の担当者がそれぞれ鬼女の姿をした不審者を目撃することになる。

事態を重くみた警備担当は最初に鬼女が目撃されてから四日後、通常の三倍の人員を投入し、厳戒態勢を敷いた。

そして、その中に再び鬼女は現れた。場所は初等部特別教室棟、通称「風見鶏」の四階廊下。

追跡にあたったのは最初にその鬼女を目撃した警備員とその同僚。

確実に何人たりとも逃げることができない状況。しかしその鬼女は誰にも捕らわれることなく姿を消した…

この報告を受けた警備責任者は学校職員に通達を入れた。それにより今回の事件は学園上層部へと知らされることと相成ったのである。

人の口に戸は立てられぬとはよく言ったもので、その存在はいずれ生徒たちへも知られることになる。

後書き琥珀「ついに始まりましたコラボ企画!!記念すべき第一話のあとがきには夢幻さんの『本格推理委員会』の主人公!速水零牙くんをお迎えして進行したいと思います!」

零牙「遅いですよ、朧月さん…」

琥珀「ゴメンね零牙くん。長いことお待たせしちゃって。企画には何度かゲストで出演してもらったけど」

昌彰「大体コラボを受けたのは約…七カ月前だろうに…」

琥珀「いや〜、コラボの話受けた時に入れるなら邪魅編のとこで入れようと決めてたんだ。そこにたどり着くのにこれほど時間がかかるとは思ってなかった」

昌彰「まぁ、こうして辿りついて零牙とも話せているからいいんだが…遅くなってすまない」

零牙「気にしないでくださいよ昌彰さん。それより朧月さん…なんでオレの扱いが初っ端からあんななんですか!?」

琥珀「アハハハハハハ…。けど、FFF団からの処刑はあれでもマシな方だよ?」

昌彰「そう言えば…」

琥珀「夢幻さんからの提案は“『ジャーマンスープレックスリレー×30回』に加え、『コブラツイスト×20回』くらいでいいでしょう”だからね」

零牙「…それに比べたらたしかにマシですね…それに…///」

昌彰「クレープとか…いつそんな写真撮る余裕があったんだ?」

琥珀「いや〜さすがにバタバタ帰ったけどそれくらい楽しんでもいいかと…それに向こう(本格推理委員会)は今シリアスだから、甘目のものを少しでも入れたくて…零牙くんのためにね」

零牙「朧月さん…」

琥珀「でも、今から受けることを考えたらプラマイゼロかな…?」

零牙「え?」

昌彰「ところで零牙…その時に、なんか笑えない冗談が聞こえたんだけど…誰を紹介するって?(黒笑)」

零牙「え〜っと…アハハハハ…」

昌彰「覚悟はいいか?」

零牙「待ってください!あの場合はああしないとオレの命が…」

昌彰「それは聞いている…だが、それとこれとは話が別だ!」

零牙「なんで剣の柄に手をかけてるんですか!?…そ、それよりゆらさんは!?」

昌彰「ゆらなら今、雅ちゃんのところにお話しに行っている。しばらく戻らない…」

零牙「朧月さん!助けてください!!」

琥珀「さて、次話以降の展開について話しておこうかな」

零牙「朧月さん!?」

昌彰「余所見してる場合かな?」

ギィンッ!!

琥珀「しばらくは前振りですから二人が絡むのがないのです。ぶっちゃけた話し、前振りの部分が長いかもしれません」

昌彰「はぁぁっ!!」

零牙「くっ!?」

ガチィッン!!

琥珀「ベースもオリジナル、そして少年陰陽師ですからぬら孫しか知らない方は違和感を覚えられるでしょうが読んで頂けると嬉しいです」

昌彰「これで!!」

零牙「飛天御剣流…龍追せ…」

ゆら「お兄ちゃん!!」

雅「レイッ!」

琥珀「およ?」

ゆら「何二人とも本気で戦ってるの!?」

雅「コラボ始まったばかりなんだからちゃんと仲良くしなきゃ駄目じゃない!!」

昌・零「「…すみませんでした」」

琥珀「さて、ヒロイン二人によって主人公二人も落ちついたところで…」

昌・零「「コラボ企画!」」

ゆ・雅「「『白昼夜 〜交差する探偵と魔術師と陰陽師〜』」」

一同「よろしくお願いします!!」


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あきゅろす。
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