断罪〜参〜
正気かと、言葉の外に問われそれでも、きっぱり言い切る。
「もう決めたんです」
「死にに行くつもりか!?」
間髪入れず、理解不能だと声高に心が叫ぶ。
「違う。生きたいから、私は行くの」
答える紗依の声は静かで、だけど
−本当は、怖い−
今にも震え出しそうになる自分の体を、押さえ込む様に紗依はぐっと抱きしめた。
「このまま城に向かうのが良い事だとはどうしても、思えない」
出来るだけ、平静に。抑揚を抑えた口調。
けれど硬く握った手の内はじっとり汗が滲んでいる。
それでも真っ直ぐ、ただ真っ直ぐに前を見つめた。
[前へ][次へ]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!