[携帯モード] [URL送信]
素直になれなくて


木手はあたしの顔を見ながら深いため息をついた。まったく失礼なやつだ。



「こんなことも理解できないんですか」

「…………」

「確率なんて中1の範囲ですよ」

「…………」



あたしは昔から数学が苦手で、それは今も絶賛継続中なのだ。だからなんとなく同じクラスの木手に聞いてるんだけど…



「まったくあなたって人はどうして」

「あーもーうるさいな!なんでそんなぐちぐち言われなきゃなんないのさ!」



あたしは全く意味がわかんなくてばしばし机を叩いたりして、さっきからこんな状況を繰り返してます!



「逆切れですか」

「もーいい!凜ちゃんかゆーじろに聞くもん!」


あたしは手に用具を持って勢いよく席を立った。


「…待ちなさい」

「なによ!まだ何か言うつもり?!」



まわりの哀れんだ雰囲気なんて気にしない!

もういい!もう諦める!木手に頼んだあたしが馬鹿だった!まだ凜ちゃん達なら希望の光が見える気がする!



「…違いますよ」

「じゃあ何よ」

「あなたが数学を全く理解してないのはよくわかりました」

「さっきと同じ…!」

「まぁ最後まで聞きなさい。せっかちですね」

「…………」



もうほんとこいついやだ!なにこのコルネ!イヤミな言い方しかできないの?!



「……だから俺が、あなたがちゃんと理解するまで教えてあげますよ」

「……え」

「いいですね?」



前言撤回する!ごめんなさい木手様!もうコルネなんていいません!



「うん!うん!」

「ただし、」

「ん?」


「俺の彼女になる、という条件付きですけどね」








(……は、)
(悪くはないでしょう?)
(さっきのなかったことには……?)
(残念ながらできません)





090420



[←][→]

第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!