素直になれなくて
木手はあたしの顔を見ながら深いため息をついた。まったく失礼なやつだ。
「こんなことも理解できないんですか」
「…………」
「確率なんて中1の範囲ですよ」
「…………」
あたしは昔から数学が苦手で、それは今も絶賛継続中なのだ。だからなんとなく同じクラスの木手に聞いてるんだけど…
「まったくあなたって人はどうして」
「あーもーうるさいな!なんでそんなぐちぐち言われなきゃなんないのさ!」
あたしは全く意味がわかんなくてばしばし机を叩いたりして、さっきからこんな状況を繰り返してます!
「逆切れですか」
「もーいい!凜ちゃんかゆーじろに聞くもん!」
あたしは手に用具を持って勢いよく席を立った。
「…待ちなさい」
「なによ!まだ何か言うつもり?!」
まわりの哀れんだ雰囲気なんて気にしない!
もういい!もう諦める!木手に頼んだあたしが馬鹿だった!まだ凜ちゃん達なら希望の光が見える気がする!
「…違いますよ」
「じゃあ何よ」
「あなたが数学を全く理解してないのはよくわかりました」
「さっきと同じ…!」
「まぁ最後まで聞きなさい。せっかちですね」
「…………」
もうほんとこいついやだ!なにこのコルネ!イヤミな言い方しかできないの?!
「……だから俺が、あなたがちゃんと理解するまで教えてあげますよ」
「……え」
「いいですね?」
前言撤回する!ごめんなさい木手様!もうコルネなんていいません!
「うん!うん!」
「ただし、」
「ん?」
「俺の彼女になる、という条件付きですけどね」
素直になれなくて
(……は、)
(悪くはないでしょう?)
(さっきのなかったことには……?)
(残念ながらできません)
090420
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