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中身は大人、見た目はお子様


新学期も始まって早一週間。朝晩はまだまだ冷え込むけど、昼間は少しずつ暖かくなってきたここ最近。ああ、今日も空が青いです。


「おーい雅治くーん」

「雅治くんはただ今留守にしております。御用のある方は伝言をどうぞ。ピー」

「重いから退けよこのやろう」


さっき苦痛である数学の授業が終わって、頭がパンク寸前なあたしは少し寝ようと俯せになったのだけど、隣の席である仁王雅治氏によって妨害されてます。確かこいつ数学得意なんだっけちくしょう。


「それは無理ナリー」

「雅、留守電は返事しないんだよ」

「なまえちゃん、科学は日進月歩しとるぜよ」

「お、雅にしては難しい言葉使ったね」

「一体俺をなんだと思っとるんじゃ」

「数学とテニスと詐欺しか脳がない銀髪不良少年」

「…なまえちゃんひどか」

「ほんとのことだもん」


ていうかさっきからあたしの頭の上に雅治の顎がグリグリ擦り付けてきてるんだけど。地味に痛いんだけど。


「雅、いたい」

「俺なりの愛情表現じゃ」

「歪んだ愛だね」

「なまえちゃんのためなら喜んで死ねるっちゃ」

「まじでか。あたし雅のためには死ねないかなー」

「仁王みょうじ夫婦不仲説!」

「夫婦じゃないからね」

「ツっこむとこそこなんか」


遊びが過ぎたのか雅治がスネだした。あたしの背中に額をぐりぐりしだした。しかも腕があたしのお腹の前でしっかりホールドされてるし。
この見た目を裏切った性格はややこしいというか、時々めんどくさいのよね。


まぁ、こんなんでも雅治には学校にファンクラブがあったりする訳で。(みんな外見に騙されてるのよ!)
あたしはよく知らないけど、付き合いたてのときにはそれはもうお世話になりました!


「マサ、ぐだぐだしてるとファンの子が泣くよ?」

「別にええもん」

「や、マサがよくてもあたしが大変なんだってば」

「………俺は」

「ん?」




「俺はなまえちゃんだけ見てくれとったらいいんじゃもん」














(なにこの子!不意打ちだわ!)
(なまえちゃん俺のこと好き?)
(うん、かわいい!)
(……)






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