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思春期レイン


ブン太を待って早数十分。あたしも部活終わってから来たけどさすが王者は違うね!ふふ、まだ終わんないや!(嫌味)
もー早くしてよー雲行きが怪しくなってきたんだけど!



「おーい、なまえ。帰ろうぜー」

「遅いブン太!」

「俺に言うなよ!幸村に言え!いや真田か?柳?」

「もう誰でもいいよ。早く!雨降りそうなんだから」

「げっ、じゃチャリ取ってくる!」

「走れー」

「鬼!」



同じ学年なのに縦社会がある部活ってなんなんだろう。うちの部活じゃありえないわ。みんな仲良しだからね!……決してナメられてるわけじゃないからね!


ちなみにブン太は自転車通学であたしは電車通学。付き合うようになってからは部活のあとに最寄りの駅まで一緒に帰っるのが日課みたくなった。



「おまたせ、荷物」

「ありがと」



ブン太はあたしの鞄を自転車の前籠に入れてくれる。こういうさりげない優しさにきゅん、てするんだよね。



「ニケツすっから、後ろ乗って。ちゃんと捕まっとけよぃ」

「う、うん」

「じゃ、飛ばすぞ!」



あたしは言われた通りぎゅ、とブン太にしがみつく。身長はそんなに変わんないし、お菓子ばっか食べる癖に筋肉があって、やっぱり男の子なんだなって思っちゃう。



「うわ降ってきたし!」



最初ポツポツだった雨がすぐにザーザーと音をたてる。まさにヘビーレイン←
それから少ししてあたしたちは駅に着いた。ブン太は濡れないところで自転車を止めてくれた。なんか今日は一段と紳士的だ!なんか拾い食いしたのか……?



「だいぶ濡れちまったな」

「そうだねー。ブン太少し雨宿りしてったら?」

「そうすっか」


ブン太は自転車を邪魔にならないとこに寄せる。籠にあったあたしの荷物を受け取った。あーあ、びちゃびちゃだ。



「ブン太風邪ひかないようにしないとね」

「おう、あ」

「ん?どうかした?」

「なまえて電車でどんくらいかかるっけ?」

「え20分くらいだけど」

「じゃあ…」



なんで今更そんなこと聞くんだろうと頭にハテナを浮かばせた。ブン太はなにやらラケットバックをがさがさ漁っている。



「よかった、濡れてねぇや」

「?」

「ほらこれ、着て帰れよ」


ほい、と渡されたのは黄色地に黒ラインでおなじみのテニス部のジャージ。



「そんな悪いよ!てゆかブン太が着て帰りなよ!」

「俺はいーの!ほら!」

「ええー」



半ば無理矢理押し付けられたジャージに袖を通す。まだほんのり温もりが残ってる気がした。



「ほんとにいいの?」

「おぅ」

「んー」



あたしがまだ納得できてないのがわかったのか、ブン太はあたしに耳元で囁いた。



「…俺は別にいいんだけどな。なまえのシャツ透けてんの」

「!!」


あたしは急いでジャージのジッパーを首まで上げた。











(ブン太さいてー!)
(なんでだよ!だからジャージ貸しただろぃ!)
(……あ、ありがとう)
(よし)




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レイン(rain):雨


090804



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あきゅろす。
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