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タイムリミット

目の前には山と積まれた紙切れの束たち。


「会長」

「……」

「会長」

「……」

「……跡部」

「なんだ」

「なんだじゃなくて、早く書類終わらせてくださいよ」

「心配するな。俺様が送ってやる」

「結構です」

「…………」

「…………」

「…………」

「…………ハァ」

「なまえ」

「なに」

「好きだ」

「はいはい、本日73回目」

「愛してる」

「74回」

「真面目に聞け」

「あたしはいつでも大真面目ですよー」

「嘘つけ」

「書類できましたかー?」

「…………」

「早くしてくださーい」

「…あぁ」

「あ、お茶入れるね」

「アッサムな」

「……お坊ちゃんめ」

「あーん?」

「なんでもないでスー。早くしてくださーい」


カチャカチャ
コポコポ


あたしは慣れた手つきで用意をして、お湯をゆっくりと注いだ。ふんわりとアッサムの香りが広がる。この葉は我が生徒会長様のお取り寄せらしい。


「はい、どうぞ」

「サンキュ」

「熱いから気をつけてね」

「ん、うまい」

「そりゃどーも」

「俺様の嫁になれるぜ」


お茶入れただけで嫁になれるってどんな思考回路だよ。どんだけ頭ん中パラダイスだよ。


「慎んでお断りするわ」

「却下だ」

「それを却下します」

「……なぁ」

「ん?」

「…お前、好きなやついんのか?」


いきなり不躾な質問だなおい。なんでこのタイミングだよ。あ、そういえばこいつ空気読めないんだった…!


「あー、まぁいるよ」

「…そうか」

「うん」


え、跡部なんか泣きそうなんだけど!やべ、不覚にも可愛いとか思った!
幻覚で犬の耳がシューン、てなってる……!


「そいつ、は」

「うん?」

「俺の知ってるやつか?」


いやいや別にいいじゃんかよ。つか、なんで物事があんた中心なんだよ。


「あー知ってるよ」


だって……ねぇ?←


「いつも人の話聞かないしうざいぐらいまとわり付いてくるし、」



「やること遅いし、俺様だしナルシだし」


お、眉がぴくってなった。


「…でも一生懸命テニスしてんのがすっごくかっこいいんだー」

「それって…」

「ほら手止まってる」

「……」


跡部はせかせかと手を動かし始めた。






「この書類が全部終わったらさ、」

「……」

「たまには真面目にあんたの告白、聞いてあげるから」

「!」

「だから頑張ってね、会長さん!」



(ちなみに制限時間は30分です)
(ちょ、おま!)






090222



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あきゅろす。
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