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ジローがこうして日吉をお昼に誘ったのは今回が初めてではない。
そして、日吉が来る前に寝てしまっていた事も。

始めの頃は、ジローが起きるまで待っていたり、起こそうとしたりもしてみたが、どれも実を結ぶことなく今ではこうして寝ているジローの隣で弁当を食べるのが常である。

一緒に食べようと誘っても、いつも寝ていて約束を守れないくせに何故ジローは尚も再び自分をお昼に誘うのか日吉には理解出来ずにいた。
そして、寝ていると分かっているのにその誘いを断らない自分自身をも。



「芥川さんは何がしたいんですか?」


そして自分は何がしたいのか。


声に出して言ってみてもその返事が返ってくる事は無く、ただ穏やかな寝息だけが変わらずに暖かな午後に響き渡った。


end.


初出 040826
修正 060705


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あきゅろす。
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