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クレハテルツレヅレ
末姫と北の方6

まだ雪の残る道である。

強者達とて、体に堪える。
普段宮中で暮らし、外歩きには不向きな官女の服装である。満仲を抱き、この道を行くのは亜美にはかなり辛いものであった。

されど、亜美は弱音を吐かぬ。

皆に迷惑を掛けぬ様、時に女房達を叱咤激励し、気丈にも懸命に歩みを進めたのである。
それが良くなかったのかも知れぬ。

皆、亜美の姿に心打たれ、懸命に歩みを進める。
体力は皆ぎりぎり、気力で歩いていたのだ。

故に、亜美の衰弱を見落としてしまったのである。
傍にいた月でさえ、わからなかった。

どさりと倒れる音がし、皆が振り返る。

亜美が雪の中へと倒れ込んでいたのである。

「亜美様!?」

すぐ傍を歩いていた月がいち早く亜美を抱き起こそうと身をかがめる。

「満仲……を…」

上気した顔で、息も荒い。月が額へと手を当てがえれば、かなり熱い。
熱である。

かなり辛かったはずである。倒れた時も不意であった。

それでも亜美は必死に腕の中の満仲を庇ったらしく、月へと差し出された満仲に傷は見当たらなかったのである。

「先を行く、お殿様に言伝を……北の方様がお倒れになったと!」

月は叫ぶ様にそう言って、伝令を走らせたのである。





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