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クレハテルツレヅレ
管弦の宴17

悪辣な物取りが、花田の叫びに気を逸らしたのは一瞬である。
紅葉も母の叫びに驚き、茫然とし、異変を察し振り向こうとした時には、凶刃は首筋寸前までに届いていたのであった。


されど……。


悪辣の凶刃は皮一枚の隙間で届かず、振り返り状況を把握した紅葉は背後へと飛び退き、転ぶ様に花田の下へと駆け出すのであった。

「何やってんだてめぇは?」
「いや……あれ? おかしいなぁ…」

飛びかかった悪辣の失敗に、悪態を吐きながら三人。門の影より現れるは同じ悪辣外道の物取り仲間である。
そんな仲間達に最初の男は首を傾げるのであった。気は逸らしてしまった。されど、仕損じる距離や状況ではなかったはずである……と。

まぁ……良い。

取り敢えず、殺してから考えれば良い。
まぁ、もしかすると殺す頃には指して気にならなくなっているかも知れぬが…と悪辣な男は気を取り直すと凶刃を握り直し、再度紅葉へと襲いにかかるのであった。

月明かりに照らされて、悪辣共には漸く紅葉の顔が見えた。

揚がるは下卑た嬌声である。

最初の男も、これは一太刀に沈めて仕舞わなくて良かったとほくそ笑む。
殺す前に……大分楽しめるに違いない。

必死に逃げ惑う二人を、俄然やる気を出して悪辣共は追いかける。

町女と野党では話にならぬ。直ぐに追いつき、逃げ道を塞ぐ様に回り込む。そして、此からの愉しみに想いを馳せ、悪辣外道共は厭らしく舌舐め擦りをしつつ、紅葉達へと凶刃をちらつかせるのであった。




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あきゅろす。
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