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クレハテルツレヅレ
魔性8

鈴音の言葉は甘い。

竹男の苦悩を読み取り、慰めの言葉を掛けてくれるのだ。

何時しか竹男の目からは涙が溢れ、鈴音の腰に手を回し膝に顔を埋めむせび泣いていた。

「可愛いそうな竹男様。お家からはなんの期待もされず、兄上方からは蔑まられ、詰られて……。あなた様は気にしないふりをしていましたが、心の隅に凝りとなっていたので御座いますね?
その凝りが澱み、膨らみ、あらあら……こんなに黒く…。
そうで御座います。竹男様の思う通り、あなた様は悪くないのです。
ただただ、産まれて来る順番が悪かっただけ。あなた様はあんな兄上方に一方も遅れを取る様な処はありませぬ。否否…。
寧ろ、あなた様が思う通り、竹男様の方こそが優秀で、兄上方はあなた様の御足に接吻をすべきなので御座います」

鈴音の言葉は止まらない。

過去の恥辱を、隠し埋めた劣等感を掘り起こし、竹男に突き付け、全て世が他人が悪いのだと何度も繰り返した。

「雪乃……。あの姫が本当に愛おしいですか?」
鈴音の問い。

「も、勿論だ…。だから、私はあれのために心を砕いて……」
「砕いて……伝わりましたか?」

鈴音はまた問うたのだった。




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