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クレハテルツレヅレ
魔性4

あの日。竹男は後朝の歌を持ち、雪乃の元へ訪れた。
婚姻を挙げ、三日間通い露顕しをするのが定石。
その三日間の内の一日目。初めての夜に体を重ね、婿が嫁に贈る歌である。

勿論。雪乃の体調が優れぬため、体を重ねる事はなく、雪乃自身からもこの状態で受け取るのは申し訳無いと言われ半年が過ぎていた……。

だが、最近雪乃の容態は更に思わしくなく、物忌みや方違えなども有り、会えぬ日が続いていた。

竹男の胸に募るは愛する雪乃を憐れむ想いである。体は重ねる事は叶わずとも、心は何時も傍にあるとの想いを込め、竹男は雪乃へ後朝の歌を贈ったのだ。

「これは……?」
「後朝の歌だよ……」

久方ぶりに逢った雪乃は今宵も体調がやはり思わしくなく、寝屋にて三つ指を突き、申し訳無い程頭を下げたのだ。

竹男はそんな雪乃に手を添え顔を上げさせる。
そして、後朝の歌を雪乃の手に持たせた。

鈴……。
雪乃の手首の鈴が鳴った。

「後朝の歌…?」

雪乃の顔に浮かぶは疑問。

「旦那様……私……こんな物を戴ける様な事……何もしておりませぬ」

そして……次いで浮かぶは深い悲しみ……。

「旦那様……」




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あきゅろす。
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