クレハテルツレヅレ 魔性3 祝言を挙げ、頬を赤らめる雪乃は本当に愛らしいと想えた。 初めはやりつけの縁談事だった。 だが、今では本当に良い出会いだと……竹男は思っていた。 雪乃の体調が思わしく無いため、夜を共にする事は未だなかったが、竹男の雪乃への愛おしく想う気持ちに変わりはなかった。 夜など共にせずとも、変わる安い想いではなかった。 されど……。 一方。雪乃は苛立ちを募らせていったのである。 それは不信から来るものであった……。 己への自信のなさ。 それは二人共感じているものである。 だが、竹男が一目で恋に落ち雪乃を守りたいと固く心に誓ったのに対し、呉葉と己を比べる内、雪乃は劣等感の塊となっていた。そんな己を人が好いてくれるとは俄かに信じられなかったのだ。 故に先日。遂に、不信感を破裂させた雪乃は竹男に食ってかかり、喧嘩別れと言う形になってしまったのである。 [*前へ][次へ#] [戻る] |