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クレハテルツレヅレ
紅い葉の様な手…1

日も明け切らぬ早朝である。

辺りは暗く、吐く息だけが白く、部屋の寒さを物語っていた。

呉葉は己の手を見つめる。

あの時……。

乱心した雪乃を押さえ付け、紫の鈴を奪い取ったのだ。

されど、鈴は奪って直ぐに崩れ、砂となり、消えてしまった。

踏み込んで来た皆が呉葉を押さえ付けようとした手を振り解き、直ぐに呉葉は走り出した。

婿を捜すためである。
婿の腰にも雪乃と同じ紫の鈴が付いていた。

婿は直ぐに見つかった。
庭で腰を抜かし、目を剥き震えていたのだ。

直ぐに裸足で降り、駆け寄り、鈴を奪った……。

触れた瞬間、それは直ぐに崩れさってしまった。
そのため殆ど何も解らなかったのだが……黒い念。雪乃の鈴から感じとったものと同じであろう、それを婿からも一瞬感じたのだった。

「呉葉ぁー!」

、呉葉を追って来た使用人達である。
彼等には、雪乃に続き婿を襲っている様に見えたに違いない。

皆の手が呉葉を掴み、引きずり倒し、今度は逃れられぬ様にと縄が掛けられた。

鈴は奪えた……。

これで、二人は元に……。

板張りの暗い部屋。
縄を掛けられ、自由を奪われ、時折ぶり返す不浄の痛みに呉葉は独り耐えていた。



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あきゅろす。
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