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小説
2
切れ長の目にさらりとした黒髪。
カリスマ的な能力と、すべてを従わせるようなオーラ。
射抜くような視線は、恐ろしくもカッコいい。

それが、我らが生徒会長様だ。





「あのぅ……隊長ぉ〜、用事があるんですがぁ。
……隊長ぉ?生徒会長の写真を見てにやけるのは結構なんですけどぉ、まず僕の用事を聞いて欲しいと言うかぁ……。

あのぅ……?
……………チッ、聞いてねぇなこのアホ隊長」


「み、光浦君……?」

「あっ……。ご、ごめんねぇ、隊長今手が話せないと言うかぁ、無理みたい。また次の機会にしようかぁ」

「う、うん。聞いてくれてありがとう!じゃあ……」

「さよならぁ……」

何か近くで話し声が聞こえるが、それも気にならないくらい僕は会長が写し出されたソレに夢中だった。

本当に会長様はカッコいい。
まるで、こう……。

「王様のようだ……」

ゴツンッ……


頭上で鈍い音がなり、たちまち僕の頭は痛みに侵食される。

目の前には、にっこりと笑うとても可愛らしいお人が立っていた。

ボキボキと腕をならしながら。

「隊長ぉ……。何度呼んでも返事をしないので心配しましたよぉ……?
思わずその煩悩が詰まったお頭を殴ってしまったじゃないですかぁ。
でもぉ、結果的に現世に戻って来られたのでよかったですぅ。
感謝してくださって結構ですよぉ」
 
「ありがとう。でも副隊長君、僕の頭は煩悩まみれじゃない。むしろ会長様と言う孤高な存在でうめつくされているんだよ?あと僕は先輩で隊長だから少しは敬うべきだと思う」

「それが煩悩っつーんだよ」


冒頭で失礼、僕は城本優也。
そして先程僕を罵ってきたキレキャラが光浦浩介君だ。

先程の会話でわかると思うけど、僕は生徒会長親衛隊隊長をやっている。
光浦君は副隊長。

この学園は少し変わっていて、顔が良い生徒、特に生徒会に親衛隊と言うものがつく。男子校なのに。

制裁やらなんやらで結構生徒達から嫌われているが、全校生徒の四割は親衛隊だ。男子校なのに。

他にも特殊な事がこの学園にはあるが、誰かさんの言葉を借りて王道学園、とでも言っておく。

そんな大規模な親衛隊の更に大規模な会長の親衛隊の隊長が、僕なのである。男だけど。(つまり何が言いたいかというと、この学園は石を投げたら必ずホモに当たるホモ校と言うことだ。)

「それで、用事って何かな?」

「聞こえてたなら返事しろよ!!……こほん、まぁいいです。用事っていうのはぁ、転校生のことなんです」

「あぁ、そういえば最近時期外れの転校生が来たって話題になってたね。なんでも物凄く頭が良いとか」

他にも、容姿端麗、ガチムチマッチョとかね。
しかしこれは根拠も何もないただの噂だ。

「……まぁそうなんですけどぉ、話題が遅れすぎですぅ。それでも親衛隊長ですかぁ?」
 
そう言って副隊長君はジトッと僕を見る。

「失礼な。丁度転校生が来る日に風邪をひいて大変だったんだよ?」

「あぁ、それは大変でしたねぇ、お疲れ様です。僕てっきりこの騒動を知ってて食堂に来てわざわざオムライスなんて食べてるのかと思ってヒヤヒヤしましたよぉ。すいません、隊長の体調もしっかり管理すべきでしたぁ、隊長だけに!」

「……副隊長君、まぁ、なんとコメントしていいかわからないけど、とりあえず騒動って何の事かな?」

「あぁ、それはですねぇ……」

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