beautiful * bird
学園
夕貴がこの世界へ来てから十一年。
「………なぁ、マサタカ。ここ、ほんとに日本?」
「…残念ながら日本だ。」
ゆうに五メートルはある門の向こうは、宮殿でした。
いや、学園の校舎なんだけど。
「お前ほんとこんな学園の校医やってんの?」
「ああ。ここは山奥だから近くに病院がないんだよ。だから内科も外科も出来る奴しか校医になれないんだ。」
「なるほどなぁ、納得。お前ホント資格取りまくってんもんな。」
マサタカが車に乗り込む。
「校舎までかなり距離があるからまた車に乗れ。」
言われたとおりに助手席に乗り、カチャリとシートベルトを締めた。
マサタカ――藤崎雅隆はそれを確認してハンドルを握る。
雅隆はユウキの主治医だった藤崎義雅先生の息子、つまり夕貴の戸籍上の従兄弟である。
そして雅隆が一時期美鳥家に居候していたため、夕貴にとっては家族同然の存在でずっと一緒にいた幼馴染のような存在。
実際は五年ぶりに再会したのだけれど。
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