beautiful * bird
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「…えっと、初めまして、美空ユウキです。この学園に入学させていただきありがとうございます。」
そう言ってお辞儀するユウキをみて理事長は目元をさらに和ませる。
「…私は、義貴の息子の美鳥夕貴君に会いたいんだが?」
その言葉に隣で雅隆が驚愕しているのを感じた。
(おーい。やっかいすぎるぞ…なんでバレてんだよ。)
スっとユウキの雰囲気が一転する。頭を上げる、ただそれだけの動作にも気品が滲み出る。
「…失礼致しました。これで宜しいでしょうか?」
目をつけられないようにと平凡をよそおったというのに、あっという間に見抜かれてしまった。
夕貴の演技はほぼ完璧。雅隆でさえその変化に気づいてはいなかった。
あまりにも自然な変化。演技と無意識の境目のようなものであるというのに。
(さすが、父様のご友人だな…この人も人外魔境かよ…)
「ああ。すまなかったね、どうしても演技していない君と話したかったんだよ。」
ニッコリと微笑んだ理事長。
「はぁ…。」
狸だ。全く腹に何を抱えているのか皆目見当がつかない。
「長い話になるから座りなさい。藤崎先生も、こちらへ」
夕貴は嫌な予感を感じてため息をつきたくなる。
外れて欲しいが、外れないだろう事も夕貴はすでに悟っていた。
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