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beautiful * bird
評判

「まぁ、なんて出来た息子さんなのかしら!」

「おりこうさんよねー」

「美鳥さんの御宅では礼儀もきちんと教えられてるのね。」


「まぁ、かわいらしいお孫さんですこと」

「これ、うちで作った草もち。夕貴ちゃんにどうぞ」

「いつも笑顔に癒されとるんじゃー」

「うちのまーくんがゆうきお兄ちゃん、ゆうきお兄ちゃんってすごくなついてるんですよー」

「うちの子も一緒に遊んでもらって助かるわ〜」

「ゆうきにいちゃーん、おにごっこしよー」

「だめー!おままごとなのー」

礼儀・作法・所作

全てにおいて家族にみっちりと扱かれた夕貴。

元17歳にとっては、小さな子の面倒を見るのもお手の物。

ひとなつっこく、いつも笑顔が絶えない夕貴。

あっというまに、老若男女問わず、ご近所から大人気になるのもうなづけるだろう。


ご近所を歩けばあちこちから声がかかり、

「美味しいお菓子があるのよー食べていかない?」

「ワシと囲碁じゃ!」

「ちーくんとかくれんぼー」

「また、演歌歌ってくれんかね〜」

「ワンワンっ!(あそぼ!)」


商店街に行けば、誰もがいろんなものを与えていく。

「おつかいかい!えらいねー」

「ほら、この大根も。おまけだよ」

「コレ、この前誉めてくれた焼きたてのクッキーだよ。商品化したんだーまた試食してね」

「おう坊主!いいマグロが入ったんだ!トロ持っていきな!」

「この駄菓子食うかねぇ〜またばぁちゃんに会いに来てなぁ…」

「そろそろ電球替え時だろ?ほらコレあげるよ」

「ああ!このお花いるかい?たくさん仕入れすぎちゃったんだよー」


まさにアイドル。

モっテモテ状態である。




「あ、マサタカ!!」

夕貴が下校中の雅隆に呼びかける。

その声に振り返った雅隆は目を見開く。

「夕貴か、なんの…

…何で大マグロ抱えてんのぉぉぉぉ!?

しかも一匹丸ごとだし!!

ビチビチしてるってかまだ生きてるしーーーっ!!」


雅隆が目にしたのは自身の身長の倍はある大マグロを抱えた夕貴だった。

ちなみにその小さな両腕には他にもパンパンのレジ袋が四つもぶら下がっている。



その日、美鳥家では盛大なマグロパーティーが開かれた。



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あきゅろす。
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