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beautiful * bird
渡米

夕貴が10歳になってすぐ。

「あのさ。オレ、秋からアメリカの大学行こうと思うんだけど。」

家族が揃った夕食の席で。

あっさりと、まるで明日買い物に行ってくるとでもいうような軽い口調で宣言する夕貴。

「そうか。よし。行って来い。」

美鳥家の大黒柱である美鳥重蔵は、これまた軽い口調で許可を出した。

「あら、じゃあ色々準備しなきゃね〜」

おっとりと義母の夕子がなにがいるかしら?と思案し始める。

「明日にでもパスポートを取りに行こうか、夕貴。」

義父の義貴はさっとスケジュール張を開く。

「夕貴さん。向こうでも毎日のお稽古を忘れてはいけませんよ。」

お稽古道具を一揃い用意いたしましょう。と祖母になる美鳥政子は釘をさす。

誰も反対するものはいない。

え!?まだ10歳じゃん!!とか、いきなり!?とか突っ込む者はいない。

この家族に常識を求めてはいけないのだ。

しかも、あっという間に渡米する算段までつけてしまう。

美鳥家家訓其の十三。

『思い立ったが吉日』

思い立ったら、即行動。即実行。が合言葉なのである。


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あきゅろす。
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