beautiful * bird
2
空港のロビーは人で溢れている。
目の前を通り過ぎていく人の波。
待ち合わせ場所の空港内のカフェでその人波を観察する。
頼んだコーヒーは手をつけないまま冷えてしまった。
夕貴が10才のときに渡米したっきり会ってないから、夕貴がどんな外見をしているのか全く分からない。
とにかく15才くらいの少年に目を凝らすが、なかなかそれらしい人物がいない。
いくらなんでも面影くらいはあるだろう。
そう思って、六年前のユウキの外見を思い出そうと記憶を探っていく。
そこで何かがおかしいことに気づいた。
(夕貴ってどんな顔してたっけ…?)
髪型や服装や声は思い出せる。
ただ、顔だけがまるでのっぺらぼうのように、まるで記憶から抜け落ちているかのように、
どうしても思い出せない。
そのことに動揺する。
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