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beautiful * bird
4

「いえ、ただちょうどいい機会なんで先輩に挨拶しようと思っただけなんですよ」

「……それだけ?」

だからあっけんからんとした美空の返答に拍子抜けしてしまった。

「はい。あの、すみません驚かせて」

美空の様子から本当にそれだけだったらしい。

ちょっとバツが悪そうに頬を掻いている。

いや、十分に驚いたけど。だって人が木から降ってきたのだ。

あれ、よく考えてみるととんでもない高さから降ってこなかっただろうか。

かなり高い所の梢が揺れていたような気がする。

もしかして俺はとんでもないものを目撃したんじゃないか!?

自分が言えた義理じゃないのはわかっているのだけど。

「……とりあえず先輩、早く着替えたほうがいいですよ。風邪引いちゃいますから」

「あ。ふぃくしゅッ!」

今の自分の格好(水に濡れた単衣姿)を思い出した途端ぶるりと身体に震えが走ってくしゃみがでた。

「ってか美空が降ってきたからだろ!」

「あは。すみませーん」

軽く謝らないで欲しい。怒る気をなくす。もともとそんなに怒るつもりはないのだが、気が抜ける。

卯月はユウキにその場から動かないでいるように言ってから着替えを置いている茂みへ足早に向かった。

 * * *


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