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beautiful * bird
3

「なんで、どうやって、ここに来れたんだ?」

この湖の周辺にある森には幾重にも歴代の『兎』によって施された結界が張り巡らされている。

中には方向感覚を狂わせるものや不可視の結界のある。

そのせいで学園では例年のごとく森に不用意に入った遭難者が続出するのだ。

その上地形的にも人が容易に侵入できるようなものではない。

「嫌な感じがしたんでそれ辿ってきたらこの湖に着いたんですよ」

先輩のおかげでそれは綺麗さっぱり消えちゃったんですけどね。

続けられた言葉に儀式が目撃されていたことがわかる。

見られてしまってはごまかしようがない。それにこの姿がバレている時点でこちらが圧倒的に不利だ。

ここに来れたことも、この姿の俺を『百埜卯月』だと言い当てたことも、目の前の美空ユウキは謎や疑問が多すぎる。

けれど、このことを口外されるわけにはいかないのだ。絶対に。

「何が、目的だ?」

卯月の口から吐かれた言葉は鋭く、硬かった。

方法はわからないが、ここにこれたのだ。気づかれないように学園に帰る事も出来たはず。そのあと脅迫することもできたのに、目の前に現れたということは直接口止め代わりの要求しようとしているのだろう。

口止めの代わりにどんなことでも、どんなに理不尽な要求をされても俺は飲むしかない。

そう腹をくくって言った。


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