beautiful * bird
2
肝心なときに緩んでいては意味がないのに!
「あー、そんなに警戒しなくていいんですけど」
この姿なのに自分の名前を言い当てられたのだ。
警戒しないほうがおかしい。
それに普通人は木から降ってこない。
不自然すぎるだろ、誰がどう見ても。
それに少年も気づいたのか「うん?あれ?やべ、オレ登場まずった?」と目の前で呟いている。
黒髪、黒目、日本人の代表的な色と高くも低くもない身長。自分と同じくらいだろう。
体格も特筆して良いわけではない。頭の形に添うように切られた髪と少し長い前髪。ノンフレームの眼鏡がさらに平凡さを印象付かせる。
そんな凡庸な容姿の少年だというのに、行動と言動がそれを完全に裏切ってる。
「お前、何者だ!」
「えっと、オレは美空ユウキです。なんで警戒解いてもらえると嬉しいんですが」
そう困ったように言われて、今朝渡された資料にあった写真を思い出す。そう言われて見ると目の前の少年と写真の顔が一致した。
なぜ気づかなかったのか、今朝散々見た顔なのに。
卯月の表情で気づいたことがわかったのか、目の前の少年、美空ユウキの表情が緩む。
だが警戒は解けなかった。
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