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beautiful * bird
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傾国なんて比ではない。国を傾かせるだけですめば僥倖だ。

そんな危ういまでの美しさ。

濡れた単衣が肌に張り付いて細い肢体をさらに魅惑的に見える。

神聖さの中に見え隠れする生のアンバランスさが壮絶なまでの色気を放っていた。

(こんな美人さんを見たことあったら絶対に忘れるはずがない。なのにどこかに引っかかるんだよなぁ)

何度記憶を探っても合致するような人物はいない。

(容姿じゃなくて、雰囲気なのか?)

古めかしい、神聖で清冽な、そして

ユウキの中でピンっと目の前の人物とある人物が繋がった。

(なるほどねぇ)

通りですぐに気づかなかったわけだ。

ここではふたりっきり。周囲に気を配る必要もない。挨拶するには絶好の機会だ。

岸から上がったその美人さんの目の前にユウキはがさりと音を立てて飛び降りる。

「!」

いきなり樹から人が目の前に降ってきたのに驚いたのか、目を見張る美人さんにユウキはにっこりと笑った。

「はじめまして。百埜卯月、監査委員長さん」


 * * *


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