beautiful * bird
5
一瞬、宙で静止した身体が崖下へ落ちていく。
ひゅうっと耳元で風がうなる。
しゅるしゅると蔦が音を立てる。
何か薄い膜のようなものが頬を撫でていくのを感じた。
「く…っ!」
グンッとユウキの体に衝撃が走る。
蔦がぴんっと張り、揺れにあわせて音を立てる。
ベルトを支点にぶらぶらと宙吊りになった。
ユウキは宙吊りのまま肩越しに下を見ると下の岩のでっぱりまではあと五メートルほど。
岩の出っ張りは足場にすると言っても両足がかろうじて乗る程度。
落下地点がほんの十センチずれただけで地面へまっさかさまだ。
負荷に耐えられないのか蔦がギリギリと嫌な音を立てる。
揺れる身体と岩の位置、タイミングを合わせて手首のナイフを抜き取り、ユウキは頭の上の蔦を思い切り切る裂いた。
その瞬間強い風が起きる。
それにより蔦が揺れ、切れた瞬間の身体の位置が予測より大きくずれた。
やべっ
身体をひねり岩場の位置を見ると一メートルほど左にずれている。
空中では自分の身体以外何も使えない。
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