beautiful * bird
4
木々に伝う蔦を何本もサバイバルナイフで断ち切る。
「こんなもんかな」
ユウキはナイフを手首のホルターにしまいながら呟いた。
切った蔦をもやい結びで繋げ合わせ十五メートルほどのロープになった片方の先を自分のベルトに固く括り付け、もう一方を傍に生えていた大木に縛る。
(とりあえず降りられればいいよな。帰りはロッククライミングの要領で登れるだろうし)
ユウキは何度かこの崖よりも高い断崖絶壁を手の力だけで登らされたことがある。もちろん命綱なんて付けさせてもらえなかった。
さっき確認したが十五メートルほど下の岩のでっぱりまで降りられたら、背の高い樹もあるし、あとは飛び降りても身体をひねれば衝撃を殺せる。
ユウキはベルトに括りつけた蔦を一度クンっと引っ張る。
「強度は十分!」
宙に吊りで一分は持つだろう。
ユウキは崖の淵に立つ。
下からのゆるい風がユウキの前髪を揺らす。
足を動かすと、足元の小石がパラパラと落ちていく。
「やっぱ、結構たっけぇなー」
くるりと崖を背にする。
膝に力をため、後ろ向きにふわりと跳んだ。
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