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「…はぁ…わかりました。でも一つだけ聞かせてください…部屋はどうなってますか?」
「…二人部屋だ。安心しろ、志乃原と華京は同部屋だ。…華京の両親たっての要望だからな」
「そうですか。それならよか… って、両親たっての要望…?」
つまりは既に男子校、寮に通わせることは親から了承済み…。
最初から選択肢などなかったようなものだ。
そう理解した愛希はがっくりとうなだれた。
その後、明日から入学だ、と実は既に転校手続きなど済ませてあるらしく。
もう選択肢うんたらのことは全く気にしないことにした愛希は、とりあえず鈴音と一緒の部屋になれたことに安心していた。
(さすがに男と同部屋は…って)
各自の荷物をまとめるためにそれぞれの家へと送り、四人それが終えたあと寮に向かうシリルの車の中。
愛希はふと考えて、自分たちの前に座っている柚璃と嘉夜に声をかける。
「ねぇ柚璃、嘉夜。二人も同部屋?」
「そうだよ。さすがに男と二人きりってのは…恋人でもないんだしそこら辺は社長も考えてくれてるでしょ」
「そうだよね…」
ホッと一安心。
「着きましたよ。ここが、あなた方が明日から通う学園です。」
「ほぇ〜…さすが社長が推薦してるだけあって…大きい…」
「って、前通ってたとこもこれくらいだったでしょ」
「道覚えるの大変そう…」
「あはは、柚璃は方向音痴だもんねw」
車から降りて学校を見上げて感激する鈴音にツッコむ愛希。
そして本当に困ったように言う柚璃に、嘉夜は笑う。
そんな四人を見て、シリルも自然と笑みを浮かべていた。
(社長の無茶な条件に、最初は私もどうなるかと思いましたが…)
四人は大丈夫そうだ、とシリルは感じていた。
「さ、それでは寮の方へ向かいますよ」
「はーい!」
「もうこんな時間だし、みんな寝てるかなぁ?」
「今日は疲れたし、大騒ぎになってほしくない」
「それは言えてるね…寝てることを祈る…」
シリルに返事を返しながら車に戻る嘉夜に続いて、鈴音がそう言い、
本音をぶっちゃけた柚璃に対して同感した愛希であった。
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