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プロローグ−誰が為のチカラ−





―――――――あれ…?ここ、どこだろう…?


「…―――たっ…、ちょ、零――っ…!!」


―――――――何か聞こえる…?あれは、燐…?


「―――今の…何の―――…!…零、…が!」


―――――――瑠海が慌ててる…。零は、何か喋って…。


「…これくらいの…―――から。―――ローレライ、あなたの…―――」


―――――――っ!?ローレライ!?





―――――――ガバッ!!!


「はぁっ…はぁ…。っ…夢…?」


乱れた息を整えながら、ベッドの上でふぅと息を吐く少女。

少女の名前は燐。
燐は先程見た夢について考えていた。


「鮮明すぎた…まさか、予知夢…?でも、『ローレライ』なんて…」


あり得ないあり得ない、と首を振る燐。


『ローレライ』。
それはこの現代世界ではゲームの中に登場する者だ。
テイルズオブジアビスというゲームだ。
燐はもちろん、燐の友人である零、瑠海もアビスが大好きである。


「そう、大好きだから夢に見ちゃっただけ!気にしない気にしない!」


本日は久しぶりに2人と会って遊ぶのだ。
そのせいもあると考え、深く考えもせずに出かける準備を始める燐。
だがそれが…後々燐は後悔することとなる。


「……。…ていうかもうこんな時間〜!?うわぁーーー準備してギリギリだー!!」


10時を差す時計を見て唖然、燐は慌てて準備を始めていた。


―――――――午前10時半。


「そろそろ来るかな。…寝坊してなければ」


携帯をパタンと閉じてベンチから立ち上がり、辺りを見回す少女・零。
待ち合わせの10時半、燐と瑠海と約束した時間だ。
だが2人とも寝坊をしがちであり、待ち合わせには遅くなることも少なくない。
それをよく理解している零は一応辺りを見回すが、いつも期待はしていない。(笑)

しかし本日は…。


「零ー!!はぁはぁ…おはよう!!」
「燐。…寝坊したのね」
「え!?あ、いや…あははは;;ギリギリセーフってとこ?;」


燐は無事待ち合わせ時間に到着。
走ってきたので少々息を切らしている燐は、零の言葉に苦笑を浮かべるたが、とりあえず到着したので一安心した。

更には…。


「零、燐!おはよう!」
「あ、瑠海だー!おっはよー♪」
「珍しいね、2人どちらとも遅刻せずに来れるなんて」


今日は槍でも降るかなぁと呟く零に燐と瑠海はそんなことない!と反論する。
何気ないその会話も、3人にとっては幸せのものだった。


「さて、どこ行くー?」
「あ、プリ撮りたいー!」
「瑠海は相変わらずプリが好きね」
「だってー!久しぶりだし、ね?撮ろうよー」


燐の問いに即答で答える瑠海に、零ははぁとため息をつく。

写真が嫌いな零としては、プリクラはあまり撮りたくないものだ。
燐は普段は多少はプリクラを撮るので、瑠海の意見には反対はしない。
そしていつも瑠海や燐のお願いに弱い零はやはり先に折れる。


「零ー!」
「はいはいわかったから。じゃぁあそこのショッピングモールね。その後買い物したいから」
「! ありがとうー♪」
「あ、燐も買い物しなくちゃだー」


零の言葉に瑠海と燐も納得し、3人はショッピングモールへと歩きだす。
心地よい風が3人の間をすり抜け、空へと舞い上がった。
暖かい日差しの中で、3人は楽しそうに会話をしていた。

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