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外殻大地編 第2話 −チーグルの森にて−





「狂乱せし、地霊の宴よ!ロックブレイク!」


燐の掛け声と共に、敵に向かって譜術が放たれた。
モロに受けたものはそのまま倒れ、音素となって消えていくが…。
直撃を免れた敵はそのまま譜術を避けていく。

が、それを予測していた燐の攻撃は、敵を零のもとへ追い詰める形となった。


「零っ!行ったよー!」
「ん?…あぁ」


少し考え事をしながらぼーっとしていた零は燐に呼ばれて返事を返す。
とは言っても魔物が近づいてきた事は気配で察していたためにすでに銃の安全装置は外されており…。
すぐに敵に弾丸が撃ちこまれた。

その場に倒れ、敵はスゥ…と消滅していく。


「うん、これで資金は充分じゃないかな?」


敵が消え去ったところに落ちているガルドを拾いながら、瑠海が2人に向かってそう言った。

只今3人はルーク達と行動を別にしており、自分達の武器を買うために資金を貯めていた。
村の周囲に徘徊している魔物を片っ端から排除している。
瑠海の言葉に、袋に貯まったガルドを見つめて、零も燐も頷いた。


「じゃぁ、買いに行こっか」
「賛成!どんな武器があるかなぁ♪」
「私に使える武器があるかなぁ…」


零の言葉に燐と瑠海がそう言いながら、3人は村へと戻っていった。





「そんなことがあったんだ」


その夜、宿にてルークとティアの話を聞いていた3人。
もちろん、内容は知っているから適当に相槌を打っているだけだが…。
返事を返した零に続いて、燐が小さく笑う。


「にしてもルーク、勝手に物を食べちゃだめだよー(笑)」
「しょうがねぇだろ!知らなかったんだから!」
「でもルーク、もしルークがやったように後からお金払うってなると、世の中泥棒さんだらけになっちゃうよ?」


燐に不機嫌そうに返事を返したルークに、瑠海が丁寧に解説をする。

確かにそうだ。
例えば店の住人が見ていないところで物を食べられたとする。
その場合、気付かれなければ払わなくて済むと考える人も出てくるわけで…。
瑠海に言われて確かに…と珍しく納得をしたルークだった。

が、すぐに先程の出来事を思い出し怒り出す。


「だぁー!イラつく!!だからって俺を泥棒扱いするのとは話が別だろー!」
「タイミングが悪かったんだよ。泥棒騒動にあってて村の人達は気が立ってたんじゃない?」


宥めるように言った零の言葉も虚しく、ルークの怒りは治まらないようだった。
そして何かを決意したかのようにルークが立ち上がる。


「決めた!明日そのチーグルとかいうのがいる森に行く!」
「ルーク、私たちはバチカルへ戻るのでしょう?」
「決めたっつったら決めたんだよ!このままじゃ俺の気が治まらねぇ!!」


うがーっと頭を掻くルークを見て、ティアはため息をついた。
そして3人に視線を向ける。


「…そういうことだけれど…いいかしら?…あなたたちは此処で待ってる?」
「ううん、あたしたちも行くよ。元々ルークの護衛みたいなものだし」


ティアの問いに即答したのはもちろん零。
ここで残ってしまえば多分離れてしまう。
だがふと、ティアが思い出したようにまた零に問いかけた。


「そういえば、武器はちゃんと買えた?」
「あ、うん、ばっちりだよ!」


反応をしたのは燐。
瑠海も頷いて武器を取り出そうとしたが、それは燐に止められた。


「ふっふーん、燐たちの武器はあとから見てのお楽しみ、ってことで♪」
「何だか楽しそうね、燐」
「燐は自分のお気に入りの武器があったから機嫌がいいのよ」


ティアにそう返事を返した零の言葉に、燐は嬉しそうに頷いた。


―――――――明日は、行くなら早く出ないと…。


イオンのことを考え、瑠海はそう思いながら布団に潜り、数分後メンバーは寝静まった。

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あきゅろす。
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